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ある日の<俺> 2016年7月23日。  恐怖の味噌汁と夏の夜寒

この日、これを書いていた時の室温は26度でした。

<俺>が贅沢にも常時エアコン28度設定を保っているのは、夏場オーブンのようになる住まいのせいで熱中症になって死にかけたことがあるからです。


たくさんのポイントをありがとうございます。評価、ブックマークもありがとうございます。前からの方もありがとうございます。励みになります。

今日も汗だくになりながら細かい仕事をいくつかこなして、ちょっとグロッキー。


塩麦茶を作ってる暇が無くて、午後から水分は水だけにしてたのがいけなかったんだろうか。身体の中が何だか薄まった気がする……。梅干舐めておけば良かったなぁ。


梅シロップからの梅ジュースもいいけどもう飯時だし、ここは酢に頼ってみることにする。ネットでレシピを検索してみると、鳥手羽肉のさっぱり煮が良さそうかも。漬け汁を作って煮立てた後は、材料をぶち込んで汁気が少なくなるまで煮込むだけでいいらしい。


レシピによるとゆで卵も一緒に入れるみたいだけど、今から茹でるの面倒くさい。鳥手羽も実は無い。でも鶏もも肉ならあるし、これを大きめに切って、と。野菜は緑のブロッコリーを茹でたのを後から飾るようだけど、無いから人参。レンジであらかじめチンして軟らかくしたのを鶏もも肉と一緒に煮よう。


味噌汁の具は昼のサラダの残りのキャベツ。と、麩。きょう、ふのみそしる。


後は、朝屋上プランター菜園で収穫したミニトマト。それと石川のお婆ちゃんにもらった胡瓜の糠漬け。お、飯が炊きあがったな。


先に風呂に入って、と。うー、身体がほぐれる……。


さて、上がって晩ご飯。


蒸らしたご飯はほっかほか。さっぱり煮の醤油と酢の匂いが食欲をそそる。ちょっと冷めた味噌汁は食べ頃。うん、今夜はなかなか豪勢だ。材料を有りものロンダリングしたけど、鶏もも肉のさっぱり煮、ウマイ! 人参もこれイケる。濃厚だけどあっさりさっぱり、いくらでも食べられそう。


味噌汁はキャベツの甘みがなかなか。そこに麩の崩れそうで崩れない存在感のある噛み応え。味がしみててイイ!


胡瓜の糠漬けも、この複雑な旨味が好み。塩気はきついはずだけど、しょっぱい感じがしない。これはご飯がすすむ。石川のお婆ちゃんありがとう!


さっきまでバテかけてたけど、なんか腹の底から力が湧いてきた。やっぱり食は大事だよな。食べなきゃスタミナもへったくれも無いし、食材工夫してこれからも健康的な食事を心掛けよう。何でも屋は身体が資本! とミニトマトをデザート代わりに摘みながら、明日に向けて気合を入れる。って、ん? ミニトマト?


「あ、水遣るの忘れた」


屋上プランター菜園に夕方の水を遣るのを忘れてた。ミニトマトとピーマンと茄子とバジルが枯れてしまう。ミニトマト以外はなかなかいい実が取れないけど。バジルは虫食いだらけだけど。水を遣らなきゃ本体が枯れてしまう。


「しまらないなぁ……」


せっかく風呂入ったのに、また汗かくけどしょうがない。そう思いながら玄関ドアを開けると、風が冷やっとしてた。嘘。昼間あんなに暑かったのに? 熱しやすく冷えやすいコンクリート打ちっぱなしのボロビル対策エアコン常時二十八度設定のお陰で気づかなかった。


そのまま外通路に出、踊り場を抜けて屋上に向かう。向こうに見える駅前繁華街の明かり。時折通り過ぎる車の音。それは昨日と同じなのに、何だこれ。ゆるく吹く風が涼しい。というより涼しすぎて肌寒い。


「七月ももうすぐ終わりなのに……?」


独り呟きながら、隅にある水道蛇口にホースを繋いで水を出す。街灯の明かりがふんわりぎりぎり届くので、月の無い夜でも慣れた動作を行うのに不自由はない。昨日と今日の気温変化の激しさに、今年のお米の作柄を憂えつつ、指で潰した筒先から飛んで行く水をぼーっと眺めてたら。


「うわっ! 冷たっ!」


蛇口からホースが外れた。暴れた筒先から飛び散る水が、腹から太腿にかけてびっしょりと。慌てて蛇口を止めるけど、濡らした水は戻らない。情けない気持ちで後片付けをしていると、特大のくしゃみが出た。ぶぇーくしょん!


「寒っ……!」


まだ風呂の湯を落としてなかったから、もっかい浸かろう。


──汗かいたらそうしようとは思ってたけど、七月も末というのに、寒くなって湯に浸かりたいと思うとは……。


七月の夜寒、恐るべし。

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□■□ 逃げる太陽シリーズ □■□
あっちの<俺>もそっちの<俺>も、<俺>はいつでも同じ<俺>。
『一年で一番長い日』本編。完結済み。関連続編有り。
『古美術雑貨取扱店 慈恩堂奇譚』古道具屋、慈恩堂がらみの、ちょっと不思議なお話。
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