ある日の<俺> 2016年5月10日。 わんこカウンセラー伝さん
黄金週間も終わって今日はもう火曜日。
連休恒例になりつつある留守宅見回りや、花壇の水遣りも一段落。
四月二十九日の昭和の日から、十日間続いた商店街特別イベントのお助けも終わって、俺にもようやくいつもの日常が戻ってきた。
「なあ、伝さん」
「うおん」
グレートデンの伝さんと、雨の中を夕方の散歩。
「ゴールデンウィークは忙しかったよ」
「おん」
車の少ない花巡りコース。庭や、塀の外置きプランターで季節の花を咲かせているお宅の前を巡るんだ。ついこの間まで全盛だったツツジも、今はもう大方へちょんとしおたれて──ツツジとサツキって、どう違うんだろうな。
「今年の商店街ではさあ、俺、<雑貨マン>とか<お花の妖精さん>の着ぐるみ着たんだよ。前の<柏餅の妖精さん>ほどじゃなかったけど、やっぱり暑くてさー」
「おぅん……」
「まあ今年は最高気温が低めだったから、その点はマシだったかな」
「うおん」
律儀に返事してくれる伝さん。うん、愚痴ってほどじゃないけど、ただ聞いてもらえるってありがたいよな。なんか癒される。
伝さんは、最高のカウンセラーだ。
「ありがとうな、伝さん」
「おふん……?」
頭を撫でた俺を、上目遣いで見上げてくる伝さん、超かわいい。でかいけど。
「雨だけど、もうちょっと長く散歩しようか」
「おん!」
「このコースは走るの無理だから、競歩な」
「おんおん!」
さっきまでゆっくり歩いてただけから、伝さん、うれしそうだ。
今日は時間があるから、伝さんが一番好きな公園コースも行っちゃおうかなぁ。カウンセリングのお礼だ!
商店街特別イベントのお助け話は『一年で一番長い日』の「2016年黄金週間の<俺>」5月5日と5月7日でお送りします。http://ncode.syosetu.com/n6429bt/