ある日の<俺> 2016年4月21日。 明るい黄色の傘の花
降ったり止んだりじゃなくて、降ったり降ったり止んだり降ったり。
そんな天気だけど、いや、そんな天気だからか、朝から忙しい。犬の散歩が一件増え、雨樋の継ぎ目がずれたのを直してやれやれと一息ついたところにまた買い物の代行が入った。
頼まれてた洗車は延期になったけど、雨の中、うっかり落とした自分の何でも屋事務所兼住居の鍵を探して見つけて一時間。スペアキーがあるとはいえ、肝が冷えた。安く貸してくれている家主に顔向けが出来なくなるところだった。
そして今、壊れた電動自転車を押して歩いている。宇賀神さんに頼まれて、自転車屋さんに持っていくんだ。なんでも今朝、自転車ごと転んだ拍子にフレームが歪んだとか。乗ってた本人はちょっと膝を打ったくらいで済んだらしいが、雨の中、傘を差して動きの怪しい自転車を押して歩くのは辛いということで、俺にひとつ仕事が。うん、そういう時の何でも屋だからな。ご依頼ありがとうございます。
それにしても、今日は半日雨の中にいるなぁ……。動いてるから寒いわけじゃないけど、身体が冷えた気がする。
何とはなしにふう、と息をついた時、曲がり角の向こうから小学生の下校グループがやって来た。
雨の中にぽんと咲いた、明るい黄色の傘の花たち。ちゃんと道の端に一列になって、一所懸命に歩いてる。
小さい傘が、可愛いなぁ。そう思い、自然に笑顔が浮かんだら、冷えた身体が温まった気がした。