表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

394/520

ある日の<俺> 2016年4月20日。  桜の庭で草むしり

春の晴天は、朝夕冷えて昼暑い。身体を動かしているならなおさら。


現在、新田さんちの庭で草むしり。春が来ると、一雨ごとに草が勢いを増す。ちょっと油断するとすぐにぼーぼーだ。──新田さんは油断してしまったらしい。


三月に転勤が決まってから、引継ぎやらなにやらでてんやわんや。とてもそれどころじゃなかったそうだ。奥さんは花粉アレルギーでこの時期外に出られないというし、そりゃしょうがないよな。お陰で俺みたいな何でも屋にも仕事が回ってきます。ありがたいです。


ああ、まだ細いけど、花がきれいだなぁ。

草をむしる手を少し休めて、俺は今満開の八重桜の木を見上げた。


庭弄りがしたくて頑張った一戸建て、これは記念樹だそうだ。せっかく咲いた今年の花を愛でる暇も無く、新田さんは慣れない職場で奮闘しているという。転勤といっても家から通える距離だし、夏ごろには仕事も落ち着くはずだから、と新田さんは苦笑いしてた。


生えた草を、むしりたい──。俺が下見に来た時、そう呟いて雑草に侵略された花壇を見つめてた新田さんの目には、昏い光が宿ってた。


ストレス溜まってるんだな、きっと……。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
□■□ 逃げる太陽シリーズ □■□
あっちの<俺>もそっちの<俺>も、<俺>はいつでも同じ<俺>。
『一年で一番長い日』本編。完結済み。関連続編有り。
『古美術雑貨取扱店 慈恩堂奇譚』古道具屋、慈恩堂がらみの、ちょっと不思議なお話。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ