ある日の<俺> 2015年3月26日。 祠の神様、猫を使わす?
女の人は腰を冷やしちゃいけないっていうけど。
男だってあんまり冷やさないほうがいいと思うんだ。
コンビニの前で姿勢悪くしゃがみ込んで、カップ麺やら菓子パン食べてる三人の少年たち。短いジャケットに腰パン? ていうのかな、あれ。尻が半分くらい見えてる。
見たくもないんだけど、ちょうど駐車場に車は停まってないし、道路から丸見えなんだ。
うわー、割れ目まで見えてるよ。こんな天気の良い昼間っからあいつら何やってるんだろ、春休みだからか? とか思いつつ、頼まれた買い物を積んだ自転車を押しながら歩いてたら、少年たちがいきなり悲鳴を上げて飛び上がったんで、びっくりした。
聞こえてきた会話から察するに、三人とも尻を怪我したらしく、「猫に引っ掻かれた!」とか叫んでる。なるほど、遠目だけど半ケツにあの特徴的な引っ掻き傷が見えるな。うわ、痛そう。
……だけど、俺ずっと見てたけど、周囲に猫なんかいなかったぞ。
ん? そういえば、コンビニの敷地の向こう側に、何故か野良猫のよく集まる古い祠があったっけ。祠の神さんが、「汚い尻を見せるのではないわ!」と見えない猫を遣わせたのかも……。
なーんてな。きっと腹を空かせた野良猫が、少年たちの食べ物を狙ってきたんだろう。俺が気づかなかっただけで。