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ある日の<俺> 2014年10月24日。 空は青空いい天気
仕事の合間を縫っての、自宅用の買い出し帰り。
自転車の前カゴにトイレットペーパー、荷台にお米三十キロ袋を積んでえっちらおっちら歩いていたら、お得意さまの石田のお婆ちゃんに呼び止められた。
何かと思えば、差し出されたコンビニ袋いっぱいの蜜柑。
「娘の嫁ぎ先から送ってくれたの。とっても甘いのよ。身体が資本のお仕事なんだから、ビタミンをいっぱい摂らないとね」
お礼を言って、ありがたく頂く。袋は、あちこちしっかり結んで、中身が転げ出たりしないようにしてくれてある。その心遣いもありがたいなと思いながら、サドルに袋の持ち手を引っ掛け、また自転車を押していく。
がさがさ がさがさ
歩くたび、車輪が回るたびに袋が揺れる。
さらに重くなったけど。重い袋が揺れるから、よけいに自転車のバランスが取りにくくなったけど。
朝、身勝手なお客さんとやりあってちょっと疲れ気味だった心が、少しだけ軽くなった。
ふと見上げると、空が青い。
そうだった。今日は晴れていて、とてもいい天気だったんだ。