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ある日の<俺> 2014年5月18日。 犬の溜息、千の風
本日も晴天なり。外での作業は暑い。
頼まれた庭の草むしりに精を出していたら、短い時間で汗だくになってしまった。ああ、たまに吹く風が気持ちいい。さすが風薫る五月。
心地いい風に興が乗った俺は、草の根をむしむしと引っこ抜きながら、つい『千の風になって』を口ずさんでいた。誰もいないのをいいことに、よくこの歌を歌っているクラシック歌手のあの人の真似をする。
と。
背後からすっごい溜息が。
しまった、家の人に聞かれてしまったか? と焦って振り返ってみたけど、そこには誰もいない。ただ、この家の犬が犬小屋の前で寝そべっているだけ。
犬はちらりと俺の顔を見たかと思うと、大きな欠伸をし、さっさと小屋の中に入ってしまった。
さっきの溜息、人間のものに聞こえたんだけど・・・もしかして、犬? まさか、な。