33/520
ある日の<俺> 4月26日。 その時の俺は俺じゃなかった
この話の元になる『<俺>のお盆』は、端午の節句、父の日、七夕話の後になります。桃の節句までは投稿しましたので、またそのうちに。
グレートデンの伝さんの夕方の散歩に付き合っていたら、警邏中だったらしい警官に声を掛けられた。
言っておくが、不審者扱いの職務質問ではない。
「警察の道場に来てくださいよ」
そう誘われた。
「あの時の華麗な逮捕術、是非、模範演技してください」
いやいやいや。無理だから。あの時の俺は、俺であって俺ではなかったんだから。・・・死んだ弟が乗り移ってたんだって言っても、信じてもらえないだろうけどさ。
弟が俺の身体でその“華麗な逮捕術”というのをやらかしてくれた後、俺はしばらく酷い筋肉痛に苛まれた。だって、普段使わないような筋肉を勝手に使われたんだから。
伝さんの散歩を理由に警官を振り切って帰ってきたが(俺が困っているのが分かったのか、伝さんが軽く唸ってくれたら、彼は速やかに俺を解放してくれた。そして、そそくさと去って行った)、顔を見るたび誘われそうで、ちょっと憂鬱だ。
俺たち、全く同じ顔だもんな・・・




