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ある日の<俺> 2月18日。 世の父親の憧れ?
雪混じりの風が吹きつけて、寒い。
寒いけど、ののかのくれたバレンタイン・プレゼントのマフラーはあったかい。
手編みだぜ? 娘の手編み! 世の父親族の憧れ! 編み目が不ぞろいだろうと気にならない。・・・元妻と暮らしてるから、普段会えないけどさ。その元妻はお揃いの毛糸で手袋編んでくれた。
まあ、何というか。
俺ってさ、バツイチ男にしては、けっこうというか、かなりというか、ものすごく幸せなんじゃないかな? って思ってる。
って、グレートデンの伝さんの散歩中に出合った富田さんに言ったら、いきなり機嫌が悪くなって、フンッ! て思いっきり鼻を鳴らして走り去った。俺と伝さん、しばしぽかーん。何でだ? マフラーのこと聞かれたから答えただけなのに。
・・・なんか、目に涙が浮かんでたみたいだけど。
・・・
・・・
んん? そういえば、富田さんとこって、このあいだから奥さんが娘さん連れて実家に帰ってそのまんま、とかいう噂を聞いたような・・・何でも、奥さんの蔵書を勝手に捨ててしまったとか・・・
良く分からないけど、早く謝ったほうがいいよ、富田さん。