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ある日の<俺> 12月10日。 猫の足跡養生注意
新車を迎えるべく、新堂さんちでは庭の半分を潰し、屋根付きの車庫を造ったらしい。土台に塗られたばかりのコンクリートは、見事に平らで滑らかでクリーミーだ。・・・我ながらちょっと意味不明。
職人の技に感動していた俺だったが・・・、つい、それに気づいてしまった。まだ固まりきっていないコンクリートに残された、その痕跡に。
スペースのど真ん中、ぽつん、と、ひとつだけの梅鉢マーク。猫の、足跡。
その前にも後ろにも、足跡は続いていない。
何だ、このミステリー。
もしかして、猫にも一本ダタラの怪物がいて、これはその仕業なんだろうか。
そういえば、果ての二十日が近いなぁ。十二月ももう中旬。月日が経つのが本当に早い。