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ある日の<俺> 4月22日。俺、思う。
あの裁判の判決が、今日出た。
死刑。
ようやく。と俺は思った。被害者の遺族にとっては、長い長い道のりだっただろう。
もし、俺の元妻が、娘が、あんな殺され方をしたら。・・・そう思うと、なおさら被告と、珍妙な<ストーリー>なるものでその弁護をしようとした弁護人を赦せない気持ちがつのる。
今回の裁判には、沢山の傍聴希望者が詰め掛けただろう。いつだったか依頼を受け、裁判傍聴券を取得するため、開廷前の行列に並んだことがあるが、それとは比べ物にならないくらい、人が集まったことは想像に難くない。
俺の両親を惨殺した犯人は、薬物の過剰摂取により責任能力不在として被疑者死亡のまま不起訴処分となったが、あれは未だにやりきれない。長じて警察官になった俺の双子の弟を殺した犯人も捕まっていないし・・・
世の中、不条理だ。が、今回の判決には少し救われるような気がする。
罪を犯したら、裁かれ、その罪状に応じた刑罰を受ける。それが当たり前のことなんだ。