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ある日の<俺> 11月20日。 案外本人は気づかない
風呂に入るために、服を脱ごうとして驚いた。
セーターが裏返し、しかも後ろ前逆。
・・・そういえば、今日にかぎって会う人会う人、何だか妙にもの言いたげだったのは、このせいだったのか。なのに、何の違和感も疑問も感じなかった俺って一体・・・。
大家にもらった手編みのセーター、胸のど真ん中にとぼけた顔の羊の絵。これが裏になってるんだから、そりゃ変だわな。俺、何で気づかなかったんだろう・・・
うが~!
はっきり言われるより、黙って生温かく見守られる方がダメージがキツイ。──そんなことを実感してしまった冬の夜。