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ある日の<俺> 11月12日。 カラスは賢い、はずなんだけど
庭先を囲うための、ちょっとしたパーテーション作りを頼まれた。材料として幅広の薄い板をホームセンターのDYIコーナーで調達し、軍手をはいた手を添えて、頭に乗せるようにして運んでたら。
ガツン! ・・・コツン
突如俺を襲った衝撃。そして、足元のアスファルトに転がる濃いベージュ色の丸こい何か。これは・・・
「胡桃?」
突然のことに唖然としていると、頭上で「アホー!」とカラスが鳴いた。板を見ると、胡桃が当たったと思しき場所が割れている。
「・・・」
俺は声のした方を見た。電線の上に大きなカラス。空から落として、割って食べようとしたようだ。話には聞いていたけど、本当にそういうことするんだな。だけど・・・
胡桃は割れなかったよ、カラス。こんな薄い板で割れるわけないだろ。
ってゆーか。
人の頭に、落とすな!