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ある日の<俺> 10月27日。 絶対居眠ってはいけない場所
なんだろう。とってもふわふわとしてて、暖かくて。
── こら
今日はいきなり真冬並みに冷えたから、玄関フェンスのペンキ塗りの仕事は辛かった。寒いのなんの。天気は良かったんだけど・・・
── こらっ
塗る前に、錆を落とすのも大変だったなぁ。ヤスリやら目の荒いサンドペーパーで擦って、擦って・・・それやってる間は身体も温まったけど、暑くなるってほどでもなくて。
ああ、本当に暖かい。頭がぼんやりしてくる。あんまり気持ちよくて・・・
── こらーっ!
「え? って、うわっ!」
ばしゃっ! ごぼっ!
げほげほげほっ!
・・・
・・・
あっぶなー。俺、風呂で居眠りしてたみたいだ。・・・びっくりした。怒られなかったら、眠り込んだままうっかり溺れ死んでたかも。って、え?
「さっきの声、誰だ?」
呟いた声が狭い風呂場に響いたけど、当然のことながら、ここには俺の他に誰もいない。
・・・
・・・
はっ! またぼんやりするとこだった。早く上がろう。