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ある日の<俺> 8月11日。 二百十日の赤とんぼ
昨日の豪雨から一転、今日は晴天。
空気中の塵がさっぱりと洗い流されたからだろう、空がとてもきれいだ。暑いけど。
それにしても、こんなに晴れてきらきらしている空なのに、秋のような寂しい翳りを感じるのは何でなんだろう。──ああ、そうか。暦の上ではもうそろそろ二百十日なんだな。
今年もまた、赤とんぼの季節だなぁ、伝さん。
「うぉん?」
俺の言葉に、伝さんが不思議そうに首を傾げる。その様子が妙にがツボにはまって、俺はついつい大声で笑ってしまった。