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ある日の<俺> 4月27日。 開き直りの源平合戦?
雨の中、傘を差してトオル君と歩く。小学二年生の彼をピアノ教室まで送って行くんだ。
「ねえ、おじさん」
「ん? どうした、トオル君?」
「あそこのおうち。かっせんの家なんだよ。知ってる?」
・・・かっせん?
トオル君の指さす方を見て、俺は思わず頷いてしまった。その家の玄関の両脇には、今が盛りの花水木。片方が真っ白なら、もう片方は赤。──合戦、だな。
しかも表札は「源平」。「げんだいら」って読むんだろうけど。
「ここのおじさん、開きなおったんろうなぁ、って、お父さんがいってた」
「そ、そうかい・・・」
うーん、なかなか否めないね、その意見。