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ある日の<俺> 4月12日。 ピンクと黄色のあひる柄
朝、雨の中。伝さんと散歩。
グレートデンの伝さんは、犬用のカッパを着ている。てか、俺が着せた。飼い主の吉井さんが用意した新品だ。前のはもう穴が開いちゃったからな。
だけどさ、吉井さん。
この厳つい伝さんに、ピンクと黄色のあひる柄ってどうなんですか?
前は普通の(?)白いやつだったのに。あ、でも、ちゃんと反射帯付きだった。暗い夜道で車のライトが当たったら、三本のラインがぴかーっと光るんだ。
・・・この新しいカッパは、黄色のあひる柄のところが反射帯になってるらしい。
「伝さん、着心地はどうだい?」
ちょうど顔に降り掛かる雨を避けながら、俺は訊ねてみる(俺も同じくカッパを着てるけど、ごく普通の透明のやつだ)。
「おんおん!」
え? そんなことより、俺の歩くのがいつもより遅い? ・・・そっか。そうだよな。伝さんにしてみたら、カッパの柄なんかどうでもいいよなぁ。
いよっ! 伝さん男前!