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ある日の<俺> 4月9日。 花と蝶
桜の花は半分以上散って、代わりに、柔らかい緑の新芽がぐんぐん育ってきてる。
すごいよなぁ。生きてるんだよな。
感動というか、感心しながらふと傍らを見ると、長い葉っぱの枇杷の木にはもう小さな実が。
咲く花あり、散る花あり、実を結ぶ花あり。
人生いろいろ、とかいうけど、花もいろいろだよな。
「あ・・・」
桜の木の根元、散った薄紅の花びらに埋もれて、黄金色のタンポポの花。気の早い紋白蝶が翅を休めている。
見とれていると、ふわっと吹いた風に乗り、花びらとともに蝶もどこかに飛んでいった。
花と蝶は、やっぱりイノシカチョウより風流だよなぁ。