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ある日の<俺> 3月5日。   無自覚の人助け

ホームセンターで高枝切り鋏を新調した帰り道。


安いのはすぐダメになるんで、今回はそこそこの値段のものを買ったんだけど、そこそこだから、そこそこなんだよ。財布が寂しくなった。


うーん、と思いながら、レシート見ながら歩いてたら、突風が。


慌てて追いかけたさ。だって、レシート無いと、必要経費の証明が出来ないじゃないか。


風に煽られて、高い所でひらひらするレシート。ようやく落ちてきたかと思ったら、ちょうどそこに通りかかった見知らぬ男性の頭に引っかかった。まさかいきなり手を伸ばすわけにいかないから、声を掛けようとしたら、また強い風が。


無意識に、押さえてた。他人様の頭ごと。


理由を言って、平謝りした。幸い、その人は怒らないでいてくれた。心の広い人だ。連れの女性もにこにこしてた。


二人は通りかかったタクシーに乗り込んだんだけど、それを見送っていると、何故か男性がタクシーを待たせて一人だけ下りてきた。何か忘れ物か? とか思ってたら。


『あなたのお陰で、最悪の事態を免れました。怒らなかったことで彼女も好感を持ってくれたみたいだし、今度こそ見合いは成功です』


──やっと結婚出来ます! ありがとう!


そう囁いて、男性は素早く俺の手に一万円札を握らせた。え? 俺、何かしたっけ? ぽかーんとしてるうちに、男性はにこやかに手を振ってタクシーに乗り込み、女性とともに去っていった。


俺のお陰とか、最悪の事態を免れたとか・・・ 

今のって、結局、何だったんだろう? 


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□■□ 逃げる太陽シリーズ □■□
あっちの<俺>もそっちの<俺>も、<俺>はいつでも同じ<俺>。
『一年で一番長い日』本編。完結済み。関連続編有り。
『古美術雑貨取扱店 慈恩堂奇譚』古道具屋、慈恩堂がらみの、ちょっと不思議なお話。
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