ある日の<俺> 4月4日。花見の場所取り
夜桜が綺麗だ。
昼ももちろん綺麗だった。淡い、まさに桜色の霞か雲か。音もなく風に揺れるさまは、うす曇りの空に溶けていくかのようで。
あー、桜の根元で一日ぼーっと場所取りをしてたら、俺みたいなのでも詩人になれそうだ。これ以上じっとしてたら、俳人にもなれるかも。などとらちも無いことを考えていたら、ようやく花見の場所取りを依頼してきた人がやってきた。その後ろから、花見弁当やら酒やらが入っているんであろう袋をいっぱい抱えた男女が続く。
これでようやくここから離れられる。朝早くから暗くなるまで、ほんっとうに長かった。ま、ちびちびと日本酒を舐めながらの独り花見は、役得だったかもしれない。
けど、身体が冷えたかな。ちょいと寒気がして不穏な感じ。うーん、日当も良かったことだし、早く帰って熱燗でもつけようか。
・・・昼食がわりのアンパンの残りじゃ、酒には合わないな。コンビニでソフトさきいかでも買って帰るか。「肴は炙った烏賊でいい」とか渋くキメてみたいところだが、カッコつけてもしょうがない、所詮はバツイチ独り者。
ののか、パパ、寂しいよ。満開の桜を見てたら、何だか寂しくなっちゃったよ。・・・明日、元妻のところに電話だけでもしてみるか。