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ある日の<俺> 1月6日。 犬との絆
強い風に混じって、雪の欠片みたいのが飛んでる。
・・・寒い。
それでも、グレートデンの伝さんと歩いてると、知らないうちに身体があったまってくる。
「寒くないかい、伝さん」
「おん!」
「そっか。今日も公園めぐりコース、行くか?」
「うぉん!」
元気良く返事してくれる伝さん。吐く息が白い。
「よーし、ちょっと走るか?」
「おんおん!」
リードを持ち直し、ジョギング程度の速さで走る。もっと早く走れるだろうに、伝さんはちゃんと俺に合わせてくれる。言葉は、通じてるのかそうでないのか分からないけど、気持ちはちゃんと通じてると思うんだ。
いい家庭犬だな、伝さんは。仔犬の頃から世話して、そんなふうに育てた吉井さんは、やっぱりいい飼い主なんだなぁ。