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ある日の<俺> 12月18日。 雪の朝
朝、目が覚めたら、やけに外が明るい。おかしいな、と思って薄いカーテンをめくってみたら。
見渡す限り、白い雪に覆われていた。
きれいだ。きれいだけど、融けたら道がどろどろのぐちゃぐちゃだ。空は晴れてる。この分だと、着替えて朝飯食って外に出る頃には、融けてしまっているだろう。
子供の頃は、雪が積もったらうれしかった。・・・いつからかなぁ、雪がうれしくなくなったのは。
滑るし、転ぶし、靴は濡れるし、電車は遅れる、自転車にも乗れない。煩わしさばかりで、とても楽しんでなんかいられない。
大人になると、余裕がなくなる。
だけど、子供の頃の楽しい思い出が、ちょこっとだけ心の隅っこのほうを照らしてくれたりして・・・だから、思うほど雪が嫌いじゃないかもしれない。