ある日の<俺> 3月26日。 家に連れて帰るまでが仕事です
今日はウメシンの御隠居の通院に付き添った。いつもは同じ町内に住む孫が連れて行くそうだが、今回だけはどうしても都合がつかなかったらしい。
本名は「梅田進重郎」なんだが、ご近所ではウメシンで通っている。今の好々爺然とした様子からは想像出来ないが、昔は結構な強面だったという(893の親分さんだったという噂有り)。うーん、そういえばふとした拍子に妙に鋭い眼をすることがあるよなぁ。噂、本当だったりして。
御隠居、帰りに寿司屋に寄っていくといって聞かない。困ったが、家に連れて帰るまでが仕事なので、付き合うことに。だけど、値段が「時価」としか書かれてない店でびびった。
自分が食べたいと言っていたのに、ウメシンさんはあまり食べず、俺にいっぱい高そうなネタを食べさせてにこにこしていた。「あんたは食べさせ甲斐があるねぇ」と御満悦。俺、そんなにがっついてたかな? だってさ、旨かったし・・・
ウニにイクラにコハダ、甘エビにアワビ。大トロはあまり好きではないので、パス。
でっかい湯飲みで飲むお茶も美味かった。
それにしても、いくら奢りとはいえ、会計が怖かったが、ウメシンさんはいつの間にか済ませていた。粋だなぁ。
杖をついてゆっくり歩くウメシンさんは、何だかとてもご機嫌だった。
気前が良くて二枚目で、ちょいとヤクザな・・・
ウメシンさん、実は背中に桜吹雪のもんもんを背負ってたりして。