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ある日の<俺> 11月3日。 文化の日の<俺>
今日は、娘のののかのピアノの発表会だった。
仕事をやりくりして何とか会場に駆けつけ、防音扉の隙間からそおっと中に滑り込んでみると、ちょうどののかの演奏が始まるところだった。間に合って、良かった・・・! 心の中でガッツポーズをしつつ、俺はその場で立って聞くことにする。
何という曲かは知らないけれど、立派に弾いてる、ののか。今日のために、毎日一所懸命に練習していたのだと、元妻から聞いている。その彼女も、この会場のどこかで、娘が演奏する姿をハラハラと見守っているんだろう。
またすぐに次の仕事に向かわないといけないので、演奏を終わったののかがきちんと観客に向かって礼をするのを見届け、俺は外に出た。
後で、ののかにメールを入れよう。パパ、ちゃんとののかのピアノ、聴きに行ったよ、って。