ある日の<俺> 10月31日。 立体パズルは難しい
目の前で、べそをかいてる女の子。
眉をハの字にして、困り果ててるそのお父さん。
俺たちが囲んでいるテーブルの上には、謎の物体。シュールというより、グロテスク。
「それ、何とか元に戻してもらえないでしょうか」
これを、ですか。
「私、どうもこういうものが苦手で・・・まさか、そんなものが立体パズルになってるなんて・・・」
はい。俺も初めて見ました。ってか、俺もパズル苦手です。ルービックキューブですら、一度も全部合わせられたことがないのに。
「普通のキ○ィちゃん人形だと思って買ったのに、何故立体ルービックキューブになってるんでしょう・・・」
そう、テーブルの上に転がっている謎の物体は、ハロー○ティ立体ルービックキューブのなれの果て。
箱から出したお父さんが、何気なく耳についてるリボンを引っ張ったらその部分が動いて。慌てて両手で持ってひねったら、他の部分が動いて。そうして、気がついたら鏡対称というか、線対称というか、ボディの右半分と左半分が反対方向を向いてる始末。
説明書を見れば、組み立て方が分かりませんか? という俺の問いに、お父さんは項垂れた。
「フリマで買ったものなので・・・」
マニュアルは無いってことですね。
「あなたを、何でも屋さんと見込んでお願いします。これ、元に戻してください。後生ですから」
両手で拝まれても・・・
ああ、困った。どうしよう。いくら<何でも屋>たって、得手不得手があるんですよ、お父さん。
ああ、俺の何でも屋生命が!(って言うほどのことでもないけどさ)
こういう時は・・・こういう時は・・・<風見鶏>に頼ってみよう。きっとネットの海のどこかから、立体パズルキテ○ちゃんの崩し方と組み立て方を探してきてくれるだろう。
世の中は持ちつ持たれつ。俺だって<風見鶏>の役に立ってるらしいし、これぐらい頼んだってバチは当たらないだろう。
うーん、他力本願。みっともないな、俺・・・
・・・
・・・
いいや! そんなことはないぞ、俺。人脈(?)だって実力のうちだ! うん。そういうことにしておこう。