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ある日の<俺> 10月26日。 らぐじゅありーに風邪引きそう

シーツも換えたし、枕カバーも換えた。昨夜寒かったから、毛布も出した。後は寝るだけ。いつもなら。


だけど、今夜は一味違う。ラベンダーのポプリ。これを枕の下に入れる。


『パパ、これ、とってもいいにおいなの。よく眠れるんだって。ママにもあげたから、パパにもあげる。手げいクラブで作ったの』


元妻と暮らしている娘のののかが、今日、わざわざ持って来てくれたんだ。もちろん、送迎はいつも通り元義弟の智晴。まだ小学校低学年のののかには、ここまで来るのは遠いからな。


ふふふ。娘って、いいなぁ・・・今夜はいい夢見られそう。


明かりを消して、ばふん、と枕に頭をつける。うん、ラベンダーの良い香りが・・・って、ん? ん? んんん?


何だ、この臭いは!


俺は慌てて明かりを点け、枕を裏返した。そして、思わず天(天井だよ)を仰ぐ。ああ、なんてこった!


何でこんなところに居やがるんだ、カメムシ!

こいつのニオイときたら、ちょっとやそっとでは・・・


心で泣きながら、俺は窓を全開にした。狭い寝室のドアも開け、キッチンについてる換気扇を回す。


カメムシの野郎は、窓の外に放り出してやった。


ヤツのニオイが消えるのを待ちながら、俺はののかがくれたポプリを寂しくくんくんしていた。


ああ、らぐじゅありーな夜になるはずだったのに、俺はどうしてパジャマ一枚で寒さに震えてるんだろう。


ぶぇっくしゅ!


・・・カメムシの臭い、ハンパねぇ・・・


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□■□ 逃げる太陽シリーズ □■□
あっちの<俺>もそっちの<俺>も、<俺>はいつでも同じ<俺>。
『一年で一番長い日』本編。完結済み。関連続編有り。
『古美術雑貨取扱店 慈恩堂奇譚』古道具屋、慈恩堂がらみの、ちょっと不思議なお話。
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