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ある日の<俺> 7月21日。 大雨の日

今日は曇りしばしば大雨。各地で大雨洪水警報発令。


この辺りも例に漏れず、学校は午後から早仕舞い、子供たちは集団で下校。学習塾もピアノ塾もそろばん塾も、全て臨時休み。そんなわけで、塾送り迎えの仕事も当然無し。


が、俺はなにげに忙しい。


どうしても散歩が欠かせない大型犬たち(グレートデンの伝さんとか、ジャーマンシェパードのアリスちゃんとか、ドーベルマンのデカさんとか)を、雨が小止みになるタイミングを見計らっては、いつもよりかなり短めのコースを歩かせ、大きいのを排泄したらすぐ始末して連れ帰り、濡れた被毛を拭いてやるという繰り返し。


本日の依頼はそれで終わりになってしまったが、まだ休んではいられない。暮れてから、さらに雨足が酷くなってきたせいだ。


顧客の安全を確認するため、電話をかけまくる。特に心配なのはお年よりの独り暮らし。今まで仕事を頼まれたことのない人でも、顔見知りだったりはするんで、電話が通じなかった人の様子を見に行くついでに「大丈夫ですか?」と声を掛けに回った。


こんなこと、ただの「何でも屋」のすることじゃないんだけど。

ないんだけど、さ。でも。俺が、心配だから。


最後に近くの派出所に寄り、顔見知りのお巡りさんに報告(というのも変だけど)。いつも二人いるお巡りさんも、一人は近所の巡回に行ってるということだったんで、俺の「独り暮らしのお年寄り情報」はそれなりに喜ばれたようだ。


テレビをつけたら、ちょうど中国地方で酷い土砂崩れがあったというニュースがあった。特別養護老人ホームが大変なことに・・・


こんな酷い雨の中、寒いだろう辛いだろう。行方不明の人たちが早く見つかりますように、と。


柄にも無く、俺は神様ってやつに向かい、祈りを捧げた。


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□■□ 逃げる太陽シリーズ □■□
あっちの<俺>もそっちの<俺>も、<俺>はいつでも同じ<俺>。
『一年で一番長い日』本編。完結済み。関連続編有り。
『古美術雑貨取扱店 慈恩堂奇譚』古道具屋、慈恩堂がらみの、ちょっと不思議なお話。
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