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ある日の<俺> 5月17日。 マスクをしよう

娘のののかから、速達で大きな封筒が届いた。中には何か柔らかいものが入っている。


何送ってくれたんだろう。叔父である俺の元義弟・智晴の薫陶(?)を受けて、デイトレードでそこそこ利益を上げてるらしいののかは、時々こんなふうに日用品(キティちゃんのトランクスとか、キティちゃんのタオルとか、キティちゃんの・・・以下略)をプレゼントしてくれることがある。


父親としてちょっと微妙な気分になるけど、娘の好意は素直に受けることにしている。これから夏に向けて、Tシャツとかそういうのかな? キティちゃんプリントだったらちょっと着るの恥ずかしいかも。でも、ののかからの贈り物なら、パパ、どんな柄でも着ちゃうぞ!


丁寧に封筒を開けてみて、びっくりした。中身はTシャツなんかじゃなくて、マスクだった。それも、花粉症の人がするような、立体の高そうなやつ。


『パパ、お外に出るときは、このマスクをしてね。しんがたインフルエンザこわいです。ののかもママも、おじいちゃんもおばあちゃんもお外出るときはします。パパもしてね。お外からかえったら、お手て洗って、うがいもしなきゃだめよ』


一緒に入っていた手紙には、そんなことが書いてあった。


一所懸命書いた、でも、一年生の頃より格段に上手になった字を撫でつつ、こそばゆい笑みがこぼれるのが自分でも分かる。心配してくれてるんだよなぁ・・・


新型インフルエンザのパンデミックが危惧されるこんな時期にもかかわらず、海外旅行を取りやめなかった人の多かったゴールデンウィークが終わって、ちょうど十日ほど。ウィルスの潜伏期間が終わった途端、国内感染が各地で頻発してる。


俺は自分のことよりののかや元妻(一応、智晴も入れておいてやろう。元義父・義母はもちろんおこと)の心配してたけど、ののかは俺の心配してくれてたんだなぁ・・・


うん。送ってくれたマスク、ちゃんと使うよ、ののか。

ありがとう。


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□■□ 逃げる太陽シリーズ □■□
あっちの<俺>もそっちの<俺>も、<俺>はいつでも同じ<俺>。
『一年で一番長い日』本編。完結済み。関連続編有り。
『古美術雑貨取扱店 慈恩堂奇譚』古道具屋、慈恩堂がらみの、ちょっと不思議なお話。
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