ある日の<俺> 4月21日。 ジグソーパズルとマスオさん 7
さて。
ジグソーパズル狂想曲(?)はこれで大団円のはずだったんだけど。
──義父に、バレました・・・
池本さんから電話があったのは、翌日の昼過ぎのことだった。依頼があってちょうど出かけるところだった俺だが、思わず素っ頓狂な声で叫んでしまった。
「えーっ! 何で、どうして、何ゆえにどのようにして──」
誰がいつどこで何をどのように何故、なんて言葉が頭の中をぐるぐる回ってる。
──あのヒトね、イイ性格っていうか、何ていうか。腹黒? 策士?
疲れ果てたような暗~い声の池本さんは、だんだんお舅さんに対する遠慮がなくなっていく。時折混ざる溜息が、重い。
「いや、まあ、まあ、池本さん、落ち着いて」
──もう、落ち着きまくってますよ。
受話器の向うから、あーあ、と呻くような声が聞こえてくる。落ち着いてるっていうより、どんよりどよどよのように聞こえるよ、池本さん。
──例の一枚だけ違ったピースね。あれ、義父の仕業だったんです。つまり、わざと形だけ同じで、違うパズルのやつ嵌めてあったの。色も似たやつだったから、一見しただけじゃ分からなかったんだよね・・・
だんだん独り言みたいになっていく。大丈夫か、おい。
──旅行に行く前、わざわざそんな細工して、落としたらすぐ崩れるようなとこにわざと入れ直したんだって。・・・そんなこと知らずにあなたと必死になって元に戻したつもりのパズル、にやにや笑いながら見てるんだよ。でさぁ、相原さんに塗りなおしてもらったあのピース指さしてさぁ・・・
『これ、誰が描いたの? すごいね。知らなかったらここだけ違うピースだったなんて分からないよ』
──すっごくうれしそうに、そう言ったよあのヒト。
「そ、それは・・・!」
うわあ! 何て性格悪いんだ、池本さんの舅さん!