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ある日の<俺> 4月21日。 ジグソーパズルとマスオさん 6

<俺>が相原さんに提供?したネタについては、「ある日の<俺> 年4月11日。 犬耳桜木R18」をどうぞ。

◇◇◇ ◇◇◇



相原さんに連絡を取ってみると、ちょうど入稿明けで予定が開いてたらしい。事情を話したところ、快く相談に応じてくれた。池本さんに了解をもらい、パズルを広げているリビングまで来てもらう。


彼こそ、最終兵器彼氏(ゴロを合わせてみただけだけど、気持ち悪いな・・・)。


相原さんは漫画家だ。趣味の同人誌もやってるらしいが、商業誌でもそこそこ売れているらしい。彼にはこの間ネタを提供したので(そんなつもりじゃなかったんだけど)、「何でも屋さんにはお礼をするよ」と言われていた。


今回、それに甘えることにしたんだ。


「これなんだけどね、相原さん」


俺はそこだけ別世界の小さなピースを指で示した。


「何とかなりませんか?」


そう。俺は相原さんに、仲間はずれのピースの絵を周囲にあわせたものに変えるよう、お願いしたんだ。


「あー、本当だ。ピースの形はこれで正しいのに、絵だけが違うな。元の絵というか、完成図はありますか?」


相原さんに言われ、慌てて池本さんはジグソーパズルに付属の完成予想図(?)を探し出してきた。二枚のオペラ・ガルニエをじっと眺める相原さん。俺と池本さんは固唾を呑んでそれを見守っていた。


「うん・・・これなら何とかごまかせそうだなぁ。アクリル絵の具か、水彩を乾かしてからコーティング剤を塗るか・・・」


ぶつぶつ呟きながら、相原さんは持ってきた大きなキャンバス・バッグの中からいくつか画材を取り出した。とっさにこれだけのものを揃えて持って来られるところ見ると、やっぱりプロの漫画家なんだなぁ、と感心してしまう。


相原さんは、元絵を見ながらささっとピースの色目を整えていく。魔法みたいだ。


大した時間もかからず、仲間はずれのピースはごく自然に周囲に溶け込んでいった。


「相原さん・・・何でも屋さん、ありがとうございます。これで俺は義父のジグソー仲間にならずにすみます」


池本さんは泣き笑いの表情で俺たちに礼を言う。

・・・よっぽど嫌いなんだな、ジグソーパズル。


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□■□ 逃げる太陽シリーズ □■□
あっちの<俺>もそっちの<俺>も、<俺>はいつでも同じ<俺>。
『一年で一番長い日』本編。完結済み。関連続編有り。
『古美術雑貨取扱店 慈恩堂奇譚』古道具屋、慈恩堂がらみの、ちょっと不思議なお話。
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