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ある日の<俺> 3月12日。三毛猫再び
今日も例の三毛猫を見た。
俺の姿を見ると脱兎のごとく逃げていくが(猫だけど)、置いてやっている餌は食べているようで、皿はいつも空っぽだ。
やつは、俺が屋上に作っている家庭菜園の物置き場をねぐらのひとつにしているらしく、よくそこで姿を見かける。天気の良い日、ごろんごろんと気持ち良さそうに背中を温まったコンクリートに擦りつけているのが微笑ましい。
何たって、世にも珍しい雄の三毛猫だ。人間に追いかけられることに疲れているのかもしれない。このボロビルの外には、あまり出ないようだ。ま、俺は餌を置いてやるだけで、やつには構わないからな。気楽なのかも。
どうでもいいけど、枯葉の腐葉土はともかく、一緒に混ぜ込んである肥料の油かすが臭くないんだろうか。
うーん、臭ければまたボロビルのどこかにねぐらを変えるだろう。放っておこう。