表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

127/520

ある日の<俺> 3月18日。 良照さんちの黒猫

いつかの黒猫を見た。


やたらと迫力のある、大柄な猫だ。小型の黒豹、と譬えたくなるくらい。首輪をしてるからどっかの飼い猫なんだろうけど・・・


そいつが塀の上で、何か四角くて黄色っぽいものを幸せそうに舐めてた。チーズかな? それにしてもでかい塊だなぁ、と思って眺めてて、気づいた。


あれ、石鹸。

側面の浮き出し模様に見覚えがある。確か、オリーブ石鹸だったと思う。


なんで、なんで猫が石鹸舐めてんだ? 美味いのか? てか、体に悪くないのか? いや、良くないだろう。そう思って、咄嗟に手を伸ばして石鹸を取り上げようとしたら。


ニヤリ。


としか表現のしようのない悪いカオをして、黒猫はひらりと塀の内側に身を躍らせた。驚いたことに、あのでかい石鹸をくわえたまま。


「・・・」


この家の表札は、「良照」。あの猫は、やっぱりここの飼い猫なんだろうか。


ニヤリ。──黒猫の口の中は真っ赤だった。


思い出すと、背中がぞくっとした。


・・・何も見なかったことにしておこう。そうしよう。猫が石鹸舐めるなんて! バカバカしい! ははははは、はぁ・・・


怖っ!


この時、『敵は海賊』を読んでたんだ…


うちの猫もマルセイユ石鹸舐めてました。美味そうでした。もちろん取り上げました。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
□■□ 逃げる太陽シリーズ □■□
あっちの<俺>もそっちの<俺>も、<俺>はいつでも同じ<俺>。
『一年で一番長い日』本編。完結済み。関連続編有り。
『古美術雑貨取扱店 慈恩堂奇譚』古道具屋、慈恩堂がらみの、ちょっと不思議なお話。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ