ある日の<俺> 3月14日。 季節外れのハロウィーン?
今日はホワイトデーだ。
男性が女性にバレンタインデーのお返しをする日、のはず。
なのに、なんで俺、こんなに飴だの、クッキーだの、チョコだの、ビスケットだのにまみれてるんだろう?
いや、バレンタインデーもこんな感じだったんだけどさ。行く先々で季節外れのハロウィーン。当然だが、別に仮装はしていない。
何でだ? 俺って、そんなに食べ物を与えたくなるような顔してるんだろうか? はっ! 石田の爺さん。あんたまで俺に菓子を?
・・・南部せんべいですか。硬いけど、美味いっすよね!
え? 岩おこしまでも?
えっと、何ですって? せっかくもらったけど、硬くて食べられないからやる?・・・ああ、まあ、ありがたく頂いておきますよ。今度、なんか柔らかいもの、持って来ます。丁稚羊羹とか。
バレンタインの残りもまだ消費しきってないんだけどなぁ。
ん? バレンタイン?
はっ!
娘のののかからチョコレートもらったのに、俺、ホワイトデーのお返し考えるの忘れてた。このままじゃののかご機嫌ななめ、俺、元妻に怒られる。
とりあえず、帰ったら電話しよう。
今はとにかく、仕事仕事。石田さんの今日の依頼は、花壇の植え替え。新しく植える花、これでいいですか? え? 赤いのをもっと植えたい? 分かりました、ひとっ走りホームセンターまで行ってきます。
頑張れ、俺! 何でも屋たるもの、お客様の気まぐれにも、出来うる限り対処させていただきます。
あ、ののかへのお返し、花にするのもいいかもな。ついでに買ってこよう。それにしても、午前中のひどい雨、午後からはぱったり止んでくれて本当に助かった。
おっ、薄いけど虹が出てる。
ある日の<俺>の、酒と薔薇の日々ならぬ、飴とクッキーと煎餅の日でした。