ある日の<俺> 3月13日。 屁に飛ばされて
朝から雨、降ったり止んだり。夕方までは小雨だったが、夜になってからはかなり激しく降っている。
公園の南側、太陽をいっぱい浴びて満開だった梅の花。この雨で散ってしまうだろうか。
散る花あれば、咲く花あり。とはいえ、桜にはまだ早いか。公園の池の端では、水仙が今が盛りと咲き匂ってるけれど。屋上のプランターに植えたチューリップも濃い緑の葉を伸ばしてきているし、ヒヤシンスも尖った頭を出している。
春だなぁ。
桜が咲いたら、ののかを連れて公園ピクニックに行こうか。よし、パパ、弁当作っちゃうぞ! タコさんウィンナーは基本だし、うーん、ウサギリンゴの練習するか?
それとも、今流行りの飾り切りでも研究するべきだろうか。そうだなぁ、「弁当のふたを開けたら動物園」てコンセプトはどうだろう? あー、でも、それだとかわいそうだから食べられない、なんてべそかいたりして。・・・ああ、俺の娘はかわいい。
などと、ぼうっと考え込んでたら。
勝手に居座っている三毛猫が、すかしっ屁をしやがった。く、臭い・・・ ゆらり、と尻尾を揺らして餌入れの前に正座(?)する猫。そーか、屁はトリップしてた俺を現実に戻す手段なんだな?
ふふ、策士だな、三毛猫。お前が屁をかました瞬間、散る花もピクニック弁当も何もかも、一瞬で飛んじまったぜ。
「なー?」
声だけはかわいいな。あー、餌切らしてる。ちょっとコンビニまでひとっ走りするか。雨なのに・・・
猫にまで使われる俺、何でも屋。
はぁ。