表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

118/520

ある日の<俺> 3月4日。 シャム柄の仔猫

だんだん色が濃くなってくるのです。

田宮さんちで飼い猫のモモちゃんが子猫を産んだというので、見せてもらいに行った。田宮さんからは、時々小学生の娘さんのピアノ教室の送り迎えを頼まれる。


モモちゃんは毛色が真っ白で、目が金眼銀眼のいわゆる福猫。シャムの血が混じってるらしい。おとなしくてとてもいい子だ。


田宮さんが言うには、産まれた四匹の子猫のうち、二匹の毛色が妙なのだそうだ。んー、こいつら、眼は開いてるけどまだ見えてないな。すぐ見えるようになるだろうけど。


真っ黒一匹、真っ白一匹。後の二匹は──たしかに変わった色に見える。白でもないし、灰色でもないし、うーん、微妙・・・


と、思ってよく見たら、耳の先と鼻の先、手足と尻尾の先の色が少し濃いかも?


あ、そうか!


「この二匹は多分、毛色がシャム猫そっくりになりますよ」


「え? モモは白猫なのに?」


驚く田宮さん。


「モモちゃんはシャム猫がかってるから・・・多分、父親猫も同じような感じじゃないかなぁ。そういう両親からは、先祖返りというか、柄だけはシャム柄の猫が生まれることがあります」


へぇ、と田宮さんは感心する。


「ほら、耳の先とかよく見てください。ちょっと色が濃いでしょ? もう少ししたら、もっと濃くなりますよ」



さて。それからしばらくしてから田宮さんから画像添付メールが来た。そこに映っていたのは・・・見事なシャム柄なのに、顔は丸い子猫。


母猫のお乳をお腹いっぱい飲んだ後らしく、満足そうに眠っているその丸々とした二匹の子猫が、狸に似ている、と思ったのは内緒だ。


や、本当に似てるんだって。


前日、3月3日は元義弟・智晴の誕生日。

その顛末は「<俺>の桃の節句」に詳しいです。目次に戻っていただいて、ずずっと最初のほうに目をやっていただくと、「何でも屋の四季折々」章の中にあります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
□■□ 逃げる太陽シリーズ □■□
あっちの<俺>もそっちの<俺>も、<俺>はいつでも同じ<俺>。
『一年で一番長い日』本編。完結済み。関連続編有り。
『古美術雑貨取扱店 慈恩堂奇譚』古道具屋、慈恩堂がらみの、ちょっと不思議なお話。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ