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ある日の<俺> 1月14日。 滑って転ぶ
アスファルトに降りた霜が、不思議な模様を描く早朝。
滑って転んだ。
よく見ると、民家の玄関先の道路が、水浸しになっている。何でこんなところに水? と一瞬呆然としたけど、多分、あれだ。車のフロントグラスやリアウィンドウについた、硬い霜。あれを落とすために水を撒いたんだ。今朝のこの寒さで、そのまま凍りついたんだろう。
危ないなぁ。だいたい、ここ、駐禁じゃないのか? いつもでかい車が止まってるけど、この家の車だろ?
うーん。俺は上手に転んだ(?)みたいだから怪我も何もなかったけど、自転車とかだと危ない。一応近所の交番のお巡りさんの耳に入れておくかな。
何でも屋は、地域の皆さんの役に立ってこそ。
──と、いうのはちょっとだけ建前。
俺が腹立ったんだよ! 怪我はなかったけど、転べば痛い。青タンくらは出来てるかもしれない。
あーあ。怒りのあまり、腹が減ってきた。うっかり食べるの忘れたからなぁ。しゃーねぇ、コンビニで肉まんでも買うか。