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ある日の<俺> 1月1日。 元日、夜店で飴を売る
大晦日夕刻から、明けて元日初日の出頃まで、神社参道夜店の飴玉売りを手伝っていた。寒かった。足が冷えて棒のようだ。それに、ものすっごく疲れた。疲れすぎて眠る元気もないかも。
飴玉売りの店はいわゆる「良い場所」で、面白いくらい売れたけど、地獄のように忙しかった。熱い鉄板の上を跳ねる水玉になったみたいな気分。
・・・そりゃ、逃げた若い衆の気持ちも分からないではない。
俺は一晩だけの約束で助っ人やってただけだから何とか耐えられたけど、三が日ずっとやれって言われたら無理。
はー。カップ麺つくるのに、湯を沸かすのも面倒だ。
座ったままで身動ぎすると、まだ脱いでなかった上着のポケットに、親方からもらった飴玉の感触。忘れてた。まあいい、これでも舐めておこう。
・・・どんぐり飴はでかい。
でも、このソーダ味、懐かしいな。昔、弟と縁日に行って買ったのと同じ味だ。甘い・・・
謹賀新年。
門松は 冥土の旅の一里塚
めでたくもあり めでたくもなし
―一休禅師
数時間どころか、数日のフライングでお正月話。