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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

白銀の桜≪プロローグ≫

作者: 稲作

ファンタジー小説【白銀の桜】のプロローグです。本編はあと少しで完成なのでちょっとお待ちください。

高低の多い荒れ果てた荒野に雨が降り注いでいる。

雨に打たれているのは乾いた土でなく、それを埋め尽くす死体の山だった。見渡す限り、地平線の先にも死体で一杯だ。

「はぁ・・・・・はぁ・・・・・はぁ・・・・・はぁ・・・・」

そんな地獄のような所に三人の男女がいた。三人ともあちこち切り傷だらけで、誰がどう見ても「病院にいけ」と言われる怪我をしていた。

「もう、これまでね。」

先程まで息切れしていた黒色のロングヘアーで灰色のコートを着た外見18,9歳の女が自分の所持している日本刀を見ながら呟いた。

「人の手で殺されるならまだマシだけど、あんな魂の入っていない人形に殺られるくらいなら・・お前はどうする?フルーリー?」

次に言葉を放ったのは茶髪の天然パーマをした見た目20、21くらいの濃い緑のジャケットを着た男だ。彼は自分の手に握られている手榴弾の安全ピンに手を添えて後ろを向き、プラチナブロンドの髪を生やしているフルーリーと呼んだ女を見た。

フルーリーは額の血を拭うと無言で立ち上がり、淡い銀色の光を放つ日本刀を縦切りに構える。

「自決も一つの選択肢だけど、その前にやることが二人にはないの?由紀子?それに達矢も?」

「フルーリー、あなたにはアレを見てもまだそれが言えるかしら?」

由紀子とよばれた女は呪文のような言葉を言いながら、周りに立ち込めている霧を掃った。

霧が晴れた場所には、何百、何千と数えられない程のローブを纏った魔導士らしき軍団が三人の周りを取り囲んでいた。

魔導師の軍団はそれぞれ異なる模様や色の戦闘ローブを纏っており、一人残らずこれから殺す予定の三人に獲物を見るような視線を向けている。

霧を掃う魔法を唱え終わった由紀子はニヤリとした顔をフルーリーに向けた。顔を向けられたフルーリーは苦笑いを浮かべて肩を竦めた。

「なんてことないね、私達なら必ずここを突破してイチゴシェイク飲みにいける!!」

「えっ?」

「はぁ!?」

フルーリーのアホみたいな言葉に由紀子と達矢は思わず素っ頓狂な声をあげる。今から死ぬのはほぼ確定しているのに異世界から日本に来たフルーリー・アルゼクスという女はどんな考え方をしているのか二人には理解できなかった。

「アハハ!俺とうとう解ったゾ。俺此処で死ぬんだな」

既に諦めた様子の竹内達也だが、その眼には生きることを已めた人間にはない【生】の炎が宿ったような眼をしていた。

達矢は傍に置いてあるコンパウンド・ボウを構え、ボウに装着されている【カーボン通常矢】と書かれたペンケースより少し大きい長方形の箱から矢を取り出し、弦につがえた。

「私も行くからフィッシュバーガーセットおごりなさい」

桐原由紀子は魔法の呪文を唱えながら自分の刀を撫でた。

すると一瞬で刀は淡い紫の火花を散らす【紫炎の刀】に変化を遂げ、刀身も白一色に変色した。

「二人共いくわよ、あのふざけた似非魔導師ども蹴散らしてシェイク屋にいくよ!」

「あの、先に本屋いっていい?俺まだ今週号のオカルト雑誌買ってないんだよ。今週号は確か【魔法特集】のはずだったけ?」

「あんたホンモノの魔導師でしょうがぁぁぁ!!!」

「あなた達いい加減にして、もうおいてきますよ?」

そう言うと由紀子は駈け出し、魔導師の軍団に斬りかかった。たちまち四、五人を斬り倒すと魔導師の人混みで見えなくなった。

「あ」

「先越されちまったな」

フローリーと達矢はお互いの顔を見て無言で頷き合った。二人は背中合わせになると、此方に杖や剣を向けて睨んでいる魔導士達を睨み返した。

「改めていくわよ、達矢」

「本屋忘れんなよ」

二人は深呼吸をして一息整えると、体を向けている方向に一気に駈け出した

「ハァァァァァアアアあああああああ!!!!」

フローリーは雄叫びを上げながら、敵を斬って、斬って、斬って斬りまくりながら、ひたすら前に進み、

そして見えなくなった。



これは後に世界に語り継がれる≪魔法戦争≫の一部始終である。

そして世界は新たな局面に突入しようとしていた。





読んでいただいた方はありがとうございます。

しばらくしたら本編【白銀の桜 調査編】をのせますので、しばらくお待ちください。感想待ってます。

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