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黄泉夜譚 ヨモツヤタン  作者: 朝里 樹
第 八 話 異界列車
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33/206

三 異界列車

 分かってはいたことだが、美琴の容姿はかなり人目を引いた。男性はもちろん、女性を含め多くの人々が美琴と、その隣を歩く恒に視線を向ける。本人たちは気付かないようにしているつもりなのかもしれないが、見られている方からすると意外に気付くものだ。

 隣にいる自分が不釣り合いに見えるせいもあるだろうと、恒は気恥ずかしさを覚える。小町と歩く時もそうだが、どうも人々がちらちらと好奇の視線を向けてくるのは慣れない。いつもこうなら、美琴があまり屋敷から出たがらない理由も多少分かる気がする。

 日曜日の昼間であるため、市川駅前は多くの人々が行き来していた。人混みというほどでもないが、日頃から言っている通りこういう状況は好きではないのか、美琴は早足で歩いていく。まるで擦り抜けるように人々の間を歩く彼女に付いて行くのは中々大変だった。

 昼を食べる店は駅ビルの中で探すことに決まっていた。街中を歩いて探すよりその方が効率が良いし、昼になるにつれ外が段々暑くなってきたこともある。人工物が多いせいか、昨日の黄泉国に比べ人間界は気温が高い。

「ここでいいの?私、お店とか良く分からないのだけれど」

 美琴がハンバーガー屋の前で立ち止まり、言った。

「美琴様が良ければ」

「私はどこでもいいのよ。じゃあ入りましょうか」

  店内には親子連れから一人で来ているサラリーマン風の男まで様々な客がおり、席は半分ほど埋まっていたが、幸いレジは空いていたためすぐに注文することができた。

 適当にセットを頼み、窓際の二人用の席に座った。他のファーストフード店と違って、ここでは注文から少し時間が経ってから注文したものが来るようだ。

「恒はこういう店によく来るの?」

 窓の外を眺めながら、美琴がそう尋ねた。

「ええ、まあ」

 このファーストフード店は、他の店よりも少し高級なハンバーガーを売りにしている店だった。その分値段も上がるため、恒のような学生はもっと安い店に行くことになり、中々この店には行く機会がなかった。そんなことを美琴に話すと、美琴は可笑しそうに、口元に手を当てて笑った。

「そうね、でも小さな贅沢で喜べるのは、良いことだと思うわ」

 やってきたハンバーガーを二人で頬張る。美琴はチーズバーガー、恒はてりやきバーガーだった。

「たまにはこういうのもおいしいわね」

「そうですか。それはよかった」

 食べ終わった後は、駅ビルの中で美琴の買い物に付き合った。本屋へ寄って何冊か本を買った後、地下へ赴く。

「手ぶらで帰るのは、朱音たちに悪いから」

 売り場に並べられている菓子類の箱を眺めながら、美琴が言った。二人で店を回りながら良介、朱音、小町への土産を選ぶ。ただ代金を払うのは美琴だったが、菓子を選ぶのはもっぱら恒だった。美琴はこういったものに知識がないというより、味音痴なところがあるらしい。

「何を食べてもね、どれが特別おいしいとか、おいしくないとか分からないのよ私。桃だけは嫌いなんだけど」

 美琴はそう苦笑しながら話す。外食にあまり行かないのはそのせいもあるのだろうか。

「なんで桃だけ?」

「何でかしらね。もうずっと食べてないからどんなものか忘れたけれど、確かあの食感が苦手だったような気がするわ」

 こうして美琴を過ごしていると、黄泉国の住人たちから彼女が慕われる理由も分かる気がした。今の彼女からは恒の良く知るもうひとつの彼女の顔、あの戦っているときの鬼気迫る面影は(うかが)えず、逆にどこか温かく、和ませるような雰囲気がある。

 紙袋一つ分の土産を買って駅に向かう。これから帰れば夕食には十分間に合う時間だった。

 改札を抜け、丁度やってきた電車に乗り込んだ瞬間、後ろにいた美琴が立ち止まった。

「どうしたんですか?」

「いえ、気のせいかしら、でも」

 顔をしかめ、首を傾げながら美琴がドアを(くぐ)る。どうしたのかもう一度尋ねようとした時、恒も車内に違和感を覚えた。

 席の半分ほどを埋めている乗客が、皆一様に同じ頭を下に垂れ、目を瞑った状態でぴくりとも動かない。手は膝と膝の間に力なく垂れ下がり、声はおろか呼吸の音さえ聞こえてこない。

 もう一度美琴の方を振り返ろうとした時、不意に意識が遠退いた。まるで眠気が波になって襲ってきたような感覚だった。最後に瞼の端に美琴の姿を捉え、そのまま恒は昏倒した。




「恒、起きなさい」

 体を揺さぶられる感覚に、恒は重い瞼を開く。すぐには自分がどこにいるか分からなかった。柔らかいとは言えないシートに手を当て、体を起こす。やがて意識がはっきりとして来て、自分が列車の中で倒れたことを思い出した。

「目が覚めた?」

「……はい」

 美琴の声に、やっとの思いで答えた。異様に体が重い。立つことができず、恒は背中を背もたれに押し付ける。そして、窓の向こうの景色が異様なことに気が付いた。薄暗い空の下、見たこともない枯れた木々の森の中を走っている。木久里駅に帰るまでにこんな場所は通らない。そもそも、電車に乗った時はまだ日が高かったはずだ。

「この電車、異界に入ったわ」

 恒の疑問に答えるように淡々と美琴が言った。その表情からは穏やかさは消え、冷たい瞳が車外の景色に向けられている。

「異界、ですか?」

「ええ、この乗り物は獲物を騙して巣に運ぶための列車おようね。簡単に言えば電車に擬態しているのよ。立てる?」

 段々と体の痺れは収まってきた。美琴の手を借り、立ち上がる。

 そして、恒は目の前に立つ美琴以外に乗客の姿がないことに気が付いた。乗車した際に見たあの不気味な人間たちは軒並み姿を消している。自分たちが危険な状況にあることは、恒にも分かった。

「この電車はどこに向かっているんですか?」

「さあね。ただ楽園に連れて行ってくれる訳ではなさそうね」

 美琴はドアの前に立ち、窓の外に視線を向ける。恒も彼女の隣に立って、月の出ていない薄暗い景色に目を向けた。枯れた木々は進むにつれて葉を茂らせていき、闇夜にその影を大きくしていく。

「このまま乗ってたらまずいんじゃないですか?」

「まあ、この列車を壊して逃げ出すことは可能だろうけど、そうなると何も知らないこの異界に放り出されることになるのよね。境界を見つけられなけれない限りはずっとこの中をさ迷うことになる」

 美琴は車窓から目を離し、恒の方を見た。

「ならいっそ、この列車が辿り着く場所まで行ってみる方がいいわ。そこにいるのが友好的な存在だとは思わないけれど、それなら余計に調べる必要があるし」

 列車が次第に速度を落とし、やがて停車した。ドアが開き、生温い風が侵入してくる。美琴は険しい表情で虚空を睨む。

「行くわよ。危ないから離れないで」

「はい」

 美琴が外へ一歩踏み出し、恒もそれに続いた。車外に出た途端、生臭い空気が鼻を突いた。今まで感じたことのない匂いだ。顔をしかめる恒を見て、美琴が言う。

「濃い瘴気(しょうき)ね。あなたは半分妖怪だから感じやすいんだろうけれど、すぐに慣れるわ」

 小さな木造の駅舎には、「きさらぎ駅」という名前が書いてあった。作られてからかなりの時間が経っているように、壁の塗装は所々が剥がれ落ち、腐りかけた木材が露出している。

「きさらぎ……?如月かしら」

 一人呟きながら美琴が駅舎の中に入る。恒も一歩遅れて黴臭い小屋の中に足を踏み入れた。

 当然のように駅舎の中には駅員も客もいなかった。自動ではない古い改札機が設置され、ちらちらと点滅する裸電球がぶら下がっているだけだ。

 駅舎を抜けると、今度は線路と山に両脇を囲まれた長い一本道が姿を現した。右を見ても左を見てもその終わりは見えない。ただ薄暗い闇が奥に向かって伸びている。どちらに進むべきなのか恒には全く見当もつかなかった。

「何もありませんね」

「見た目はね」

 美琴は瞳を紫色に変化させ、闇に眼を凝らす。彼女が何を見ているのかは、恒には分からない。

「こっちよ」

 美琴が右の道を選ぶと、恒もそれに従った。ここがどんな場所であろうとも、彼女とともにいれば大丈夫だという確信があった。

「この先には何があるんでしょうね」

「さあね。でもこの方角の方が瘴気も、妖気も、霊気も、穢れも強い。何もない方が嘘だわ」

 十分ほど歩くと、恒にもこちらに何かがあるであろうことが分かって来た。進む毎に今まで感じたことのない奇妙な感覚が全身を蝕んでくる。全身を小さな虫が這い、その数が次第に増えて行くような、そんな気持ちの悪い感覚だった。それを美琴に話すと、美琴は小さく頷いてから答えた。

「あなたも異界に住んで、私たちと一緒に暮らして大分経つから、妖としての感覚が育ち始めてるのよ。最初は戸惑うかもしれないけれど、慣れれば便利よ」

 その言葉が終わらないうちに、美琴は前方に鋭い視線を向けた。恒も同じ方向を見る。今度は恒もはっきりと感じた。これは幼いころから知っている、あの幽霊と呼ばれるものたちが現れるときに覚える、体の奥が一瞬冷たくなるような感覚だった。

「お前さんたち、よく来たな」

 姿を現したのは、左足のない老人だった。白髪の男は二人の方に向かって口の両端を釣り上げると、風に紛れるようにしてその姿を消した。

 その瞬間、周りの景色が変わった。気が付けば恒は暗い森の中に立っていた。慌てて隣を見ると、ちゃんと美琴もいた。安堵すると同時に美琴が睨みつけるようにして前方を見ているのに気が付く。見れば、赤い鳥居が闇の中、周りを白い頭蓋骨に囲まれて仁王立ちしている。まるでホラー映画の演出のようだった。

「随分とあからさまね」

 明りのない夜の森の中では美琴の表情はよく分からないが、笑っている声ではなかった。

「これは?」

「境界よ。もちろん人間界に繋がるものではないけどね。異界と異界を繋ぐもの」

 赤い鳥居を手の甲で叩きながら美琴が答えた。

「入りますか」

「そうね、この先からは穢れの気配が充満している。見過ごすことはできないわ」

 そう言って、美琴が恒の方へ振り向いた。紫色に光る二つの瞳が恒を見つめる。

「もう一度言うけれど、私の側を離れないでね」

 恒が頷くと、美琴は鳥居の中に向かって歩き出した。恒もそのすぐ後を追う。自分が足手纏いになっているのは分かっている。だが、ここで勝手な行動をとれば余計に彼女に迷惑がかかる。美琴の言うことに素直に従うことがこの場合は最良だと思った。




 境界を抜けた先にあったのは、昭和の初期から取り残されたような村だった。電灯の僅かな光が木造の家や商店を照らしており、今とは文字の並びが逆に書かれた看板や、三輪の自動車などが見える。

 しかし、その映画やアニメでしか見たことのないような情景に関わらず、それらの建物は造られてから何十年も経ったようには見えなかった。まだ塗装も新しく、窓が割れていたり、壁に穴が空いているものもない。明りが付いている家はなかったが、街灯を見る限り電気が通っていることも含め、まるでまだ廃村にはならずに人が住んでいるようだった。村の入り口には、「杉沢村」という表記の看板が立っている。

 どこかで見た名前だ。確か昨日小町と一緒に見たテレビで見た都市伝説の検証の対象になっていた。偶然だろうか、それともあの都市伝説は本当だったということか。

「杉沢村、同じ名前の都市伝説があったように思います」

「火のないところに煙は立たず。都市伝説と呼ばれるものはね、それが実在することもままあるの。この異界もそのようね。見てみなさい」

 美琴はそう言って近くの家に近付いた。するといきなり窓に明りが灯り、何かが壊れるような音が響いてきた。その直後悲鳴が聞こえ、家の玄関が開いて若い女が転がるように飛び出した。その質素な木綿の和服には赤い血がべったりつ付いており、それが彼女のものなのか、それとも違う誰かのものなのかは分からなかった。

 恒が慌てて近寄ろうとすると、美琴がそれを手で制した。

「現実ではないわ。よく見てみなさい」

「え?」

 よく見れば、確かに目の前の惨劇は現実感が希薄だった。すぐ近くにいるのに、女はこちらの存在に全く気付いていない。街灯の下に照らされた女の輪郭もぼんやりとしている。この村の情景と相まって、まるで過去の映像を見せられているようだった。

 這うようにして何かから逃げようとする女の頭を、玄関から伸びて来た手が掴んだ。筋肉の発達した腕を見るに男のもののようだったが、全身は見えない。女は泣き喚くが、その腕の力が緩まることはなかった。もうひとつの腕が奥から伸びて来て、その手に握った鉈が振り下ろされ、女の首は恐怖にぐちゃぐちゃになった表情のまま地面に転がった。

 現実ではないにしても嫌な光景だった。恒は目を逸らし、美琴を見た。美琴は殺人の現場に視線を留めたまま恒に言う。

「この村は最初から異界だった訳ではないみたいね。ここが異界と化した理由は、あの男にあるみたい」

 先程の家から何かが出てくる気配があった。見れば、背の高い男が右手に鉈を、腰に猟銃を差して立っている。それだけでも異様なのに、男の顔には面が張り付いていた。僅かに前髪が描かれ、目尻の釣り上げ(うっす)らと笑いを浮かべ、真っ赤な唇の両端を釣り上げたものだ。(わず)かな電灯の光に照らされて、それは異様に不気味だった。

童子(どうじ)の能面ね」

 美琴が呟くように言う。男の背格好はどう見ても子供には見えない。それが余計に(いびつ)さを(かも)し出しているのだろうか。

 男は声を上げることもなく、まるでごみを捨てるかのように左手に持った、その家の中にいた誰かのものであろう生首を地面に落した。

「あれは、人間なんですか?」

 その光景を目の前にして、恒は思わずそう口に出した。

「ええ、あれは人間よ」

 美琴は静かに答えた。

 暗闇の中、返り血を浴びたその白い顔に恒は今までにないほどの恐怖を覚えた。これは幽霊でも妖怪でもない、人間なのだ。

 男は足元に転がった二つの生首を蹴飛ばすと、(なた)を帯に差して歩き出した。村の人間たちはまだ男の凶行に気付いた様子はなく、夜は静まり返っている。

 美琴は何も言わずに男の跡を追った。恒もそれに続く。男はまるで機械のように規則的に、ゆったりと歩みを進める。




 その後の惨状は、言葉に言い表わせるものではなかった。まず能面の男は近くの家にの扉をこじ開け、音に驚いて起きてきたその家の主らしい男の額に、その家の壁に立てかけてあった手斧を叩きつけた。彼が倒れると、能面の男は家の中に侵入し、まず起き上がろうとした若い女を掛け布団の上から鉈で刺殺し、寝ていた赤ん坊の首を絞めた。それから女の悲鳴で集まって来た村人たち数人を猟銃で撃ち殺し、その銃声で村は地獄に変わった。

 能面の男は家から出てくる村人を片っぱしから殺して行った。ある者は鉈で切り殺され、ある者は猟銃で体を吹き飛ばされた。男は村にあるものならば何でも凶器とした。角材で小さな子供を殴り殺し、ロープで老人の喉を絞め、鎌で首を裂き、槌で骨を砕いた。家から出てこないものに対しては自ら侵入して血祭りに上げ、時には出入り口を塞いで火を点けた。

 その光景に、恒は何度も吐き気を覚えたが、目を逸らすことはできなかった。目の前で繰り広げられるこの村の過去は、彼の想像しうる惨状を遥かに超えていた。能面の男は一切声を発さず、ただ作業でもするように人を殺して回った。命乞いをしようとも、悲鳴を上げようとも、その手を緩めることはない。こんな生き物がいるなど、信じたくはなかった。



異形紹介

・きさらぎ駅

 某私鉄に乗っていると電車が数十分止まらなくなり、やっと止まったかと思うとそこは「きさらぎ駅」という無人駅だったという。

 2ちゃんねるのオカルト板発祥の都市伝説。発生は2004年。きさらぎ駅は周りを山や草原に囲まれており、タクシーはおろか建物や公衆電話さえ見当たらない場所にある。

 人ではない何かが棲みついているようで、片足の無い翁や、他の人間を助けると騙して車にのせ、連れ去る人間の形をしたなにかが報告されている。また彼らは、太鼓のような音と鈴のような音を鳴らしながら、迷い込んだものに近づいてくるという。

 この駅に来るまでに伊佐貫という名のトンネルを通るらしい。

 以下に話の概要を示す。

 新浜松駅から静岡県の某私鉄に乗っていた女性Hは、いつもは数分感覚で止まっていた電車が20分以上止まらないことに気がつく。不安になり始めた彼女はやっと止まった駅で降りるが、その「きさらぎ駅」という名の駅は無人駅で、近くに人気もない。Hは家族に電話するが、そんな駅は見つからないという。警察にも連絡するが、悪戯だと取り合ってもらえない。しかも、どこからか太鼓の音と、それに混じって鈴の音が聞こえてくる。仕方なく、線路を辿って帰路に着き始める彼女だが、線路の上を歩いてはいけないという声を聞いて振り返ると、片足だけのおじいさんが立っていて、すぐに消えてしまう。恐怖に慄きながらHは電車で通った覚えのあるトンネルを抜け、そこであった人の車に乗せてもらう。

 だが、車は一向に町へ戻る気配を見せず、運転手に尋ねても何も答えないか、意味のわからない独り言を呟き続ける。Hはここで隙を見て逃げると報告をするが、そのまま彼女の書き込みは途切れ、話は唐突に終わる。


 こういった異界系の駅の都市伝説は他にも多くあり、有名なものでは「月の宮駅」がある。

 きさらぎ駅に降りたと報告した人物は上記の他に二人いるが、二人目は嘘であったことが現在の時点で判明している。三人目は2ちゃんねるではなくtwitter上に情報が書き込まれた。その際には女性の声だったアナウンスが突然男性のものに変わり、「終点きさらぎ駅」と言ったと報告されている。また、この中で「何かを燃やして煙を出せばきさらぎ駅から逃れられる」という情報も書き込まれた。ちなみにこの報告者は一度眠りに落ち、再び起きた時には元の世界に戻っていた。

 また静岡県の場合、東海道新幹線、三島-静岡間で起きるといわれる有名な怪異があり、その概要は食堂車に行くなどして席を立っていた乗客が、この区間に列車がある間に自分のいた車両に戻ると、それまでは空いていたはずの車内がなぜか大勢の乗客で埋まっている。間違って別の車両に来てしまったかと引き返すが、やはりこの車両で間違いないようだ。そこでもう一度、車両の中に入っていくと、そこは自分が席を立つ前同様の乗客がまばらな車両に戻っていた、というものである。

 きさらぎ駅は上記のように静岡県の私鉄や小田急線に繋がっていた他にも福岡県において「やみ駅」「かたす駅」という二つの駅に挟まれた状態で存在していたという情報もある。

 もしかすればきさらぎ駅は、日本のどこからでも繋がっているのかもしれない。

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