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黄泉夜譚 ヨモツヤタン  作者: 朝里 樹
第四二話 いつか、私が暮らした遠い町
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二 マヨイガに誘われて

 私は東京駅で人を待っている。帰省の場合、いつもなら真っ直ぐ新幹線か飛行機に乗って東北に帰るところだが、今回は珍しく一緒に岩手へと向かう人がいる。

 満春ちゃんがその妖怪に詳しいという人たちに連絡を取ってくれて、相手も私に会ってくれると返事をくれたそうだ。

 相手は私よりも若い高校生の男の子一人と、それと同じぐらいの年齢の女の子だという。年下の子と話すのは年上の人と話すよりも緊張しない。最近は就職活動のせいで自分より一回りも二回りも年上の人々と話すことばかりだったため、新鮮な気分にもなれそうだ。

 待ち合せは八重洲中央口。平日のため行き来する人の流れは速い。様々な年齢層の男女が、同じような色のスーツを着て早足で通り過ぎて行く。

 そんな姿を見ながら、私ももうすぐあんな風に生活せねばならなくなるのかと思うと、少し憂鬱になる。しかし辺りを見渡せばすぐに目に入る東京の高層ビルたちは、そこで働く人がいるからこそその場所に建っていられるのだろう。

 隠れ里の人たちはみんなもっとのんびりとしていたし、こんなに背の高い建物もなかったなと、ふと思い出した。

「あの、寺原冬実さんでしょうか」

 ぼけっとしていたせいで、名前を呼ばれた時はびくっとした。声の方を見ると、高校生ぐらいの年齢であろう少年が立っている。その後ろには、まるでお人形さんのような顔形の少女もいた。彼女も見た目は高校生ぐらいだ。

「そうです。と、いうことは池上恒君と、伊波美琴さん?」

 私が尋ねると、二人は頷いた。私は自分より年下であろう二人を交互に見る。池上君という方の少年には年相応のあどけなさが見えるけれど、伊波さんの方は随分落ち着いているように見える。ただの私の第一印象でしかないけれど。

 私は次に腕時計に視線を移した。そろそろ良い時間だ。

「よし、じゃあ新幹線の時間ももうすぐだし、行きましょうか。ちゃんとした自己紹介は新幹線の席で、ということで」




 私は彼ら二人と向かい合うように新幹線の席に座った。駅の売店でお弁当も買ったから、お昼の準備もばっちりだ。

「依頼は隠れ里に行きたい、でしたよね」

 ひとしきりお互いの紹介が終わった後、伊波さんが言った。私も回りくどいことは好きではないので、単刀直入な話し方には好感が持てる。

 池上君は予想通り高校生のようだが、伊波さんは違うらしい。年齢も不詳だ。ただ今回のように、妖怪や異界に関わる仕事をしているのだと言っていた。

 しかしこんな少女がそんな特殊な仕事をこなしているとは恐れ入る。普通の人に言ったって冗談にしか取られないだろうけど、私は自分の経験があるから、そんな仕事があるのかもしれないと信じられる。それに生真面目そうな雰囲気のせいか、嘘を吐くような人間には見えないし。

「そう。正確には昔一度行ったことがあるとある隠れ里に、もう一度行きたいの。伊波さんと池上君は、やっぱり妖怪なんかに詳しいの?」

 私は二人に問う。池上君は何だか頭を掻いているが、伊波さんの方は私を見返して、小さく頷いた。女の私も見とれるぐらい綺麗な子だ。人間じゃないみたい。失礼かもしれないから口に出しては言わないけど。

「ええ、あなたの力にはなれると思います」

 伊波さんはそう混濁のない澄んだ声で言った。

「ほんと! でもケセランパサランの件もあなたたちが解決してくれたんだもんね。私も期待しちゃおう」

 満春ちゃんのことを思い出し、私はそう言った。私自身隠れ里にもう一度行きたいなんて奇特なことを頼んでいるのだ。それに力を貸してくれるというだけで、感謝しなければならない。

「では、寺原さんがかつて訪れたという隠れ里、まずはそのお話を聞かせてはもらえませんか?」

 伊波さんは小首を傾げ、問うた。やはりその話をしないと始まらないか。

「ちょっと長くなるかもしれないけど、良い?」

「ええ、是非聞かせて頂きたいです」

 伊波さんのその言葉に私は少し得意になる。

 もう幼いころから何度も頭の中で繰り返し思い出して来た記憶だ。すらすらと、私の口からは言葉が出る。

「あれは、私はまだ五歳だった頃の話。その頃私の両親は仲が悪くてね、毎晩のように喧嘩してた。そのとばっちりでよく私も怒られてさ。私のせいでお父さんとお母さんは喧嘩してるんだと思ってた。今思えばただの八つ当たりなんだけどね。ほんと、酷い親だったよ」

 私は自嘲気味に笑い、そして話を続ける。

「そんないつもの喧嘩が始まったある夜、私は我慢できずに家を飛び出したんだ。少しは両親が気付いて追って来てくれることを期待していたけど、駄目だった。私は雪が降りしきる夜の中を一人で歩き続けた」

 あの時の心細さと寂しさ、そして寒さは、今でもありありと思い出せる。だけど帰る気にはならなくて、私は、あてもなく雪の中を歩き続けていた。明りがない町の外れまでやって来ても、足を止めることも戻ることもできなかった。

 私はあの時を思い出しながら言葉を続ける。あの日の小さな逃避行の末に、私は隠れ里に辿り着いたのだ。




 誰か知っている人の家に行けば見つかって、またあの家に連れ戻されてしまう。それが嫌で、私は誰にも見つからないようにと暗い夜道を歩いていた。そのうちに私は行ったこともない林の前に立っていた。

 私は少し躊躇してから、しかしやっぱりその中を進み始めた。家に帰ったらまたあの喧嘩を見なければならない。そしてきっと、勝手にいなくなった私は酷く怒られる。それは私にとって、誰もいない夜の林より怖かった。

 少し歩いて川を見つけ、それに沿って林を辿る。寒くて仕方がなかったが、休めるような場所は中々見つからなかった。

 そうして進み続けていた時、いつの間にか私を囲む木々は杉並木に変わっていた。そこで初めて、私は目の前にある大きな岩に気が付いた。その岩には小さな穴が空いていて、そこから綺麗な水が湧いていた。

 その水は雪の中だというのに凍ることなく、一筋の流れとなって川に向かっている。そして岩の側には、水を汲むための赤く塗られた桶が雪を被っていた。

 誰かこの辺りに住んでいるのだろうか。心細さから、私は岩を巡って少し歩いてみる。すると、私の前に身長の何倍もある黒い門が現れた。ひのきさわらの木材で作られた、大きな正門だった。

 そしてその門で切り取られた景色の向こうに、立派な館がある。檜皮葺ひわだぶきの屋根の大きな家だ。周りは高い塀に囲まれており、そして庭には一本の立派な唐松が伸びていた。

 私は恐る恐る庭を横切り、その家の戸を叩いた。しかし返事はなく、人の気配もない。

 勝手に人の家に入ることが悪いことだということは、幼い私だって分かっていた。だがこの時私の体力は限界で、とにかく雪と風を凌げる場所が欲しかった。

 戸には鍵は掛かっておらず、しんとしていた。そのまま赤い毛氈もうせんの敷かれた奥座敷に上がると、火鉢がしつらえてあって、火がついていた。とても暖かく、そこで暖を取っているうちに私はいつの間にか眠ってしまった。


 眠りの中で私は夢を見た。私は夢の中で、祖父に抱かれていた。

 どうしてそれが祖父だと思ったのかは分からない。顔も知らないのだし、そもそも夢の中で彼の顔は曖昧で判別できなかった。だけどそれは確かに祖父だった。この世にもういないからこそ、私の両親の問題を解決してくれる救世主として祖父を求めたのかもしれない。

 それとも夢の外から聞こえて来る声が、私に亡き祖父を連想させたのだろうか。

 そう、私は誰かに呼びかけられて目を覚ました。

「おやおや、お嬢ちゃんどうしたね」

 何時間眠っていたのかは定かではない。だがその声は、私を深い眠りの底から掬い上げた。

 目を開けると、大きな顔をした翁の姿が視界に入った。私は慌てて跳び起きる。勝手に人の家で寝ていたのだ。まず反射的に怒られると思った。

「こらこら、急に動くんでない。どうしたんじゃ。見たところ、酷く疲れているようじゃが」

「お爺ちゃん、だれ?」

「わしか? わしはこの家の主じゃよ」

 お爺さんはそう言って優しく笑った。勝手に入って来たことを怒ってはいないようだ。私は安堵した。それに、何だか初めて会ったとは思えない親近感がある。その理由は分からなかったけど、小さな子供にとってはそれはとても大事な感覚だった。

「腹が減っとるじゃろう? まずはこれでも食べなさい」

 そういってお爺さんは赤いお椀に入ったお蕎麦を私に差し出してくれた。温かくて、空っぽだったお腹に染み渡る様な味がした。

「お嬢ちゃんはどこから来たんだい」

 お蕎麦をすする私にお爺さんがそう尋ねる。

「遠野っていう町」

 私が答えると、お爺さんは感心したように「ほぉ」と言った。

「最近じゃあここに迷い込む人間は珍しいなあ。どれ、それを食べ終わったらわしが遠野まで送っちゃろう。心配せんで良い。わしも昔、遠野に住んでいたんじゃ」

 私は翁を見る。親切心で言ってくれているのだろう。だけど自分の家の様子を思い出すと、帰りたいとは思わなかった。

 きっと夫婦喧嘩に夢中で、私がいなくなったことにだって気付いていない。そんな風に思うとどうしようもなく悲しくなる。

「私、帰りたくない」

 思わずそう言ってしまった。だけど本心だった。私がいるから喧嘩になるのなら、私なんていない方が良い。幼い私はそう拗ねていた。

「困ったのう」

 翁はさほど困った風でもなく、そう頭を掻いた。

「なら少しの間、この町で暮らしてみるかい?」




 翁の住むその家は、マヨイガと呼ばれているのだと教えてもらった。私と同じように、昔からこの家に迷い込んでくる人が多かったからそんな風に呼ばれるようになったのだという。

「春になるとな、紅や白の花が一面に咲き乱れ、何羽もの鶏たちががこの庭で遊ぶんじゃよ」

 翁はその情景を思い浮かべるように目を細めた。私がこの家に迷い込んでから一晩が経った朝だった。翁は私が帰りたくなるまでこの家にいて良いと言ってくれたから、幼い私はその言葉に甘えていた。

「あの泉はな、汲めども汲めども尽きないという泉で、干上がることはないんじゃよ」

 翁は唐松の左右に沸いた泉を指して言った。泉の上に薄らと雪が積もり、少しずつ水の中に溶けて行っているようだ。あの泉も外にあった湧水のように全く凍る様子が無い。

「ところでお嬢ちゃん、どうして帰りたくないんじゃ? 理由を聞いても良いかな?」

 翁は尋ねる。それは気になるだろう。まだ小学校にも上がっていないような子供が一人で家でして、その上帰りたくないと言っているのだ。

「お母さんとお父さんがね、私のことでいっつも喧嘩してるの。だからね、きっと私がいない方がいいんだって、そう思ってお家を出てきたの」

 母にもし母と父が湧かれたら、どっちに付いて行くと問われたこともあった。それに答えられないでいると、怒鳴られるのが嫌で仕方がなかった。

「そうか。そりゃ辛いのう。そういう理由なら、お嬢ちゃんが帰りたくなるまでここにいればええ」

 翁はそう言ってくれた。父や母の話を聞いてくれて、親身になってくれるその翁の存在が嬉しかった。遠野にも友達や知り合いの大人はいたけれど、自分の父母のことを相談できる相手はいなかったから。

 それから翁には、少しの間でも生活する場所だからとマヨイガを案内してもらった。

 庭は枡形ますがたで、裏手には馬小屋と牛小屋があり、毛並みの良い牛馬が飼われていた。馬と牛たちは私が近寄っても拒否することなく、その首を撫でると気持ちよさげに目を細めた。

 マヨイガの裏手にはまた門がある。黒塗りの大きな門だ。

「この先には町があるんじゃよ。見てみるかい?」

 私は頷いた。一体どんな町があるのだろう。翁は黒い門に手を着き、そしてゆっくりと開いた。その向こうに、雪の降り積もる美しい町が見えた。




 マヨイガの黒い門の目の前には堀があり、橋が掛かっていた。そこを渡るとたくさんの家や商店が立ち並んでいる大きな通りに入り、路上を馬車や人が行き交っているのが見える。

 どれも土や木で出来た壁、それにこけら葺や瓦の屋根に彩られた、古い建物たちだった。コンクリートや鉄筋で出来たような家は見当たらない。

「この町は小島と呼ばれておる。この町は他の世界から離れたところに浮かぶ、小さな島のような場所だからそう呼ばれるようになったという」

 隣に立った翁が教えてくれた。薄く積もった雪の上を歩いているのはまるでお祭りであるかのように着物を着た人ばかりな上、目が一つの人、複数ある人、角が生えている人、尻尾が生えている人、普通よりずっと大きい人、小さい人、更に二足歩行する動物まで、様々な人々が言葉を交わし、往来している。

「不思議な町じゃろ?」

「すごい!」

 私は思わずそう口にした。舞い降る雪の中に広がる妖怪たちの里、それはとても幻想的な光景だった。

 翁に手を引かれ、町を歩いた。見たこともないようなものを売っている店が並び、どれを見ようかと視線が迷う。

「ここの人たちはお化けなの?」

 私は翁に尋ねた。翁は穏やかな声で答える。

「お嬢ちゃんから見ればそうなるかもしれんのう。じゃが心配せんでもええ。誰もお前さんを取って食おうとするやつはおらんから」

 ということは翁もまたお化けなのだろうか。見た目は人間と変わらないようだけど。そう問うと、翁は笑って答えた。

「そうじゃなぁ、わしもお化けじゃ。じゃがな、わしも元々は人間だったんじゃ」

 翁は頭に積もった雪を払いながらそう言った。

「お化けになったの?」

「そう。お化けになったんじゃ。ずっと昔な、わしはお嬢ちゃんとおんなじようにこの町に迷い込んでしまってな。そのままここに住んでいたら、いつの間にかな」

 私が怯えた顔をすると、翁は愉快そうに笑った。

「そんな顔をせんでもよい。お嬢ちゃんはちゃんとわしが責任もって元の場所に帰してやるから。じゃから今はこの町を楽しみなさい」

 私は再び翁に手を引かれ、私は町を歩いた。朝起きてすぐ家を出たのに、歩けども歩けども町は終わりを見せなかった。

 翁の話では、数は少ないもののこの町には人間も住んでいるのだと言う。私のように偶然迷い込んで、そのままこの町を気に入って住み着いてしまったものがほとんどなのだそうだ。

「ここにはよく悩みを抱えた人が迷い込むんじゃよ」

 翁は言った。翁もまた、そうだったのだろうか。

「妖怪もまたそうじゃ。そういう場所なんじゃろうなぁ」

「普通の人は入れないの?」

 私は疑問に思ったことを口にする。

「そういう訳ではないよ。偶然ここに迷い込んでしまう人もおる。そういう者たちはすぐ戻って行くくことが多いようじゃが、そうやって人間の世界に広まったこの場所は、隠れ里と呼ばれているそうじゃ」

「隠れてるんだ」

「ある意味では隠れているのかもしれんなぁ。この場所は来たいと思って中々来れる場所じゃない。昨日まで繋がっていたはずの場所に、今日は繋がっていないということもあるんじゃからな」

 それを聞いて私は不安になる。私もこのまま、家に帰ることなくお化けになってしまうのだろうか。

「大丈夫じゃよ。そんな顔をするってことはまだお嬢ちゃんは帰りたい場所があるってことじゃろ? そういう人は皆、帰ることができるものじゃ。そろそろ暗くなる。まずはわしの家に帰ろうかの」

 私の様子を見て翁はそう言ってくれた。翁の言う通り空はもう暗くなり始めており、気温も低い。私は一度体を震わせて、そして翁とともに歩いてきた道を辿り始める。

 マヨイガに着く頃には太陽はすっかり姿を隠しており、明りのない町景色に、雪明りが映えていた。



異形紹介


・神隠し

 ある人間が突然共同体の日常世界から消え失せてしまう現象を、神の仕業として捉えた際に使われる怪異の名称。柳田國男氏は『遠野物語』においては神隠しに遭い易いのは黄昏時に家から出ている女や子供であると述べられている。

 また小松和彦氏は神隠し事件のパターンについて、無事な姿で失踪者が発見され、失踪時の記憶を残しているもの、発見されるものの失踪時の記憶を失っているもの、失踪者が行方不明のまま発見されないというもの、失踪者が死体として発見されるもの、の四つに分けられるとしている。また同氏は「浦島太郎」や「四方四季の庭」など、現実とは時間の流れが違う異界に訪問する話も元の世界に残された人々から見れば原因不明の失踪事件であり、これらも神隠し事件の一例だと述べている。


 神隠しという言葉は元々は人が急に見えなくなる、即ち不意に透明人間のようになることを言う言葉であったとされる。

 人の失踪を指す神隠しは隠し神と呼ばれる神等の仕業とされ、失踪者が神隠しに遭ったと断定された場合には鉦や太鼓を叩いてその者の名前を呼ぶなど、呪術的作法によって捜索された。これは神と人とが交渉するために方法だったと考えられている。

 隠し神とされるものは天狗が多く、特に天狗が原因となる神隠しは天狗隠し、天狗攫いなどと呼ばれた。天狗の場合は天狗に攫われた者が元の世界に帰って来て、天狗とともに異界を見た、空を飛んだという体験を話したり、また天狗から様々な知識や術を教わった、というものが多い。平田篤胤『仙境異聞』で有名な寅吉もまた、天狗に攫われて幽界を見たとされる人物である。その一方で古くは天狗が人を攫う理由は餌とするため、とされており、天狗に攫われたまま戻ってこなかったという事例も勿論存在する。

 また他にも狐による神隠しも例が多い。狐の場合は人を物理的に連れ去るのではなく、化かすことによって幻想世界に人を誘い込み、異界へと連れ去ってしまう方法が良く使われる。

 そして狐、天狗に並ぶ隠し神としてはさらに鬼が語られ、彼らの場合は人を食うか妻とするかといった直接的な目的のために神隠しを行い、自分たちの世界に人間を連れ込む話が多い。

 これらの他にも隠し神が語られることは多く、『遠野物語』においてもある日唐突に消えた村の娘が約30年の時を経て老いた姿で帰ってきた「寒戸の婆」の話や、山に入ったまま戻ってこなくなった女が山の中で山人の妻として暮らしていることを発見される話といった、隠し神に攫われた者たちの話が記されている他、『遠野物語拾遺』にも山で行方不明になり、山男の妻となった女の話、家の軒先から突如消え失せた娘の話などが記されている。



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