大通り いきなり決闘?
思ったより短いです。
「…たくっ、クソ餓鬼め、ちゃんと気を付けねぇと危ねえじゃねえか」
襟首を掴んで引っ張たのは、長身の青年だった。
少年と青年の身長の差がかなりあるため、襟首を掴まれている少年は青年の手からぶら下がっている状態だ。これだけでもかなりの腕力を持っているのだろう。
「グっ!く、首が絞まるぅ~」
襟が喉に食い込んで息が詰まったのだろう。青年の手から逃れようとバタバタと暴れる。その間、手に持っているトランクを離そうともせずにしっかりと握っている。
「おっ、わりぃ」
すぐに気付いた青年が手を放し道に降ろす。
少年は咳き込みながらも助けてくれた青年を見上げた。
「あ、ありがとう。助かった」
不注意で助けられたのが筈かしいのか口もごりながらも頭を下げる。
「いや、良いよそんなこと。これが俺の仕事だからさ、それにこの町では車が通ることが少ないからお前みたいなチビが結構轢かれそうになるんだよ」
特に何でも無いように言う青年の姿は思った通り自警団の制服着用しており右胸には盾を模った刺繍が施されていた。
「ま、大半の奴らは遊びでやってるけど、あんまりふざけて危ないことはしないよう気を付けるんだな、小学生」
笑い話のように注意する青年の最後の言葉にピクリと反応する少年。
「……小学生だって?小学生、へー小学生。フフフㇷ」
顔を俯かせ、かなりトーンの下がった声で小さくつぶやき、不気味に笑うが、青年は気付かずに続ける。
「?ワザとじゃないってか?わかってるよ、さっきのあわ手振り見たから。だから気を付けろって言ってんだよ!ドジな小学生」
わざと言っているように見える、にこやかな青年と、その言葉に体を震わせ黒いオーラを放つ少年。
それは何処からどう見ても少年で遊んでいるようにしか見えない。
その二人の周りには半径一メートル位の空間が出来ている。
初めからこの二人を見ていた人は不穏な空気を感じ取り、距離を取っている。
「だ、誰が」
「ん?」
「誰が小学生だ!俺はトーヤ、トーヤ・アルナーレ。こ・う・こ・う・せ・い・だ!!」
ついに爆発した。助けてもらったことも忘れ物凄い勢いで青年に食って掛かる。
「はあ?そのなりで高校生?冗談はその辺で止めとけ小学生。お前みたいなチビが高校生なんてありえないし。牛乳飲んで背伸ばしてからにしろ」
おちょくるようにしてトーヤをあしらう。
――――ブチッ
冷えた。
一瞬にしてトーヤが纏う空気が変わった。
その空気を感じた瞬間近くにいた人は一斉に下がった。トーヤの雰囲気の変化に気圧されたのだ。
キレた。と言うより、怒りが頂点に達し、逆に冷静(冷酷?)になったといった方が良いかもしれない。
「……ほぉ、じゃあ戦るか?そして俺が勝ったらさっき言ったことを撤回し、認めろ」
トーヤの口調が変わった。
この際トーヤが何を示しているのか、わかるだろう。
「ああ、いいぜ。俺は餓鬼相手でも手加減はしないぞ。それと、勝負ふっかけてきたのはお前だ。だからルールは俺が決めさせてもらう」
もとはこの自警団の青年がトーヤの自尊人を傷つけたのが問題なのだが、気にすることなく面白いおもちゃを見つけた子供のように顔を輝かせながら勝負に応じてしまった。
「じゃあ、ルールはクリスタル無しの決闘スタイル。武器を使っても良いけど殺傷能力無しの物を使う。捻挫程度なら別にかまわない。あと、初めは8メートル離れた所から5、数えてどちらかが降参するか戦えなくなった時点で終了。ちなみに審判役は俺の同僚でいいか?」
特に異論は無いようですぐに肯くと、それを見ていた人の中から青年と同じ服を着た男が進み出て来た。
青年より頭一つ背が低いが、体つきはがっしりしている。長年この職に就いているようで、制服は色褪せていて所々に繕った所がある。
「はぁ、お前なぁ巡回中のこんな騒ぎ起こしたって隊長の耳に入っても俺は知らないぞ。隊長に怒鳴られるのはお前だけだからな」
青年が勝手に始めたので自分は関係ないという事だろう。
「ま、仕方ねえ、めんどいが此奴の言う通り審判役は俺が引き受けてやるよ。よろしくな!」
案外人懐っこそうにトーヤに笑い掛ける。
「「おい!止めろよ!!」」
と、周りに居た人達の誰もが思ったが、高まる二人の闘気に口が挿める筈も無く、巻き込まれないよう距離を取り眺めるのだった。
「じゃあ、最後の確認だ。クリスタル無で武器はあり、殺傷能力が無い物を使い捻挫程度の物なら使用可能。8メートり離れた所から5、数えて開始、相手が降参するか戦えなくなった時点で終了。まあ、危険だと思ったら俺が止めるから思う存分に戦え」
最後の確認が終わったので、二人は8メートルの距離を取りそれぞれの戦闘態勢を取った。その際、少年の持っていたトランクは審判の男に預けている。
少年は腰を下げ、左足を前に出して構える。特に武器などを使わず素手で、戦うようだ。
青年は腰につるしていた警棒(柄についているスイッチを押すと電気が流れる。決闘では使わない)を構える。
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ちなみにこの警棒は自警団の支給品で、電気が流れるのは微力な電気を持つクリスタルが使われているからだ。
♦♦♦♦♦♦
周りでは、後から来た野次馬達が賭け事を始めたが二人の間ではすでに静寂が支配している。
二人が完全に構えたのを確認してカウントダウンが始まった。
「5,4,3,2,1,は――――」
「ていや!!!!」
「ぐふっ!!」
始めの合図が掛かろうとした所で変な声が混ざった。
見ていた誰もが唖然とする。最後のカウントダウンをしていた審判の頭にいきなり跳び蹴りが入ったのだ。
蹴りを入れた人物は、けった反動を使って空中で宙返り、そのままきれいにスタッと着地した。
あーなんか内容が纏まりませんでした。すいません。
後日内容を追加する予定なのでそれで勘弁してください。
ほんとごめんなさい。