プロローグ
闇の中を黒い影が走り抜ける。その後ろから怪物が追いかけて来ている。
影と怪物の距離はだんだん狭くなり、ついには10メートルをきった。そこで一瞬止まったように見えたが軽く膝を曲げ跳躍し、影の横に降り立った。
月が雲間から出て、影と怪物を照らし出す。
逃げていた影は少年だった。黒い髪に銀色の瞳、月の光によって妖しく光っているように見える。
少年は逃げるのをやめ、その場に立ち止り妖しく光る瞳で怪物をにらんだ。
体型は人に似ているが、手足が異様に長く体は硬くゴツゴツした鎧の皮膚に覆われている。
「ちっ、Lv.1の第3形態まで成長してやがる・・・」
舌打ちをし少年は腰に掛けているホルスターから銃を取出し、街中だというのにもかかわらず銃弾を打ち放つ。
「ギャウッッ!・・・グルルルル・・・」
撃った弾は狙い違わず怪物の胸に当たり、血の代わりに真紅に染まった蝶が飛び怪物は後ろに倒れた。
飛び上がった蝶は群がるように少年の方に飛んで行き、少年はその中の一匹を掌に乗せた。
「・・・散れ」
言葉を呟くと同時に手に乗せた蝶を握り潰す。
蝶は音もなく粉々に砕け、群がっていた蝶も怪物も一緒に砕け散り、赤い粉が降り積もった。
月が陰り、風が吹くと月はまた出てくる。
さっきまで少年がいた場所には誰もいなく、赤い粉が風に吹かれてキラキラと光り輝いてちりぢりに飛んで行った。
この小説を読んでくださってありがとうございます。
次回から本編を記載しますので、これからもよろしくお願いします!!