自業自得
中庭。
杏は息を切らしてた。
さっきから尭人がしつこく追いかけてくるからだ。
「ったく、なんなの?あの男?」
「尭人って言ったじゃない。」
「ギイヤアアアアァァアアア!」
上から尭人がイキナリ返事をしてきたので、杏はビックリして叫んでしまった。
「な・・・なんでココにいるってわかったのよ?」
「だーかーらー、ここには詳しいの。どこが一番全体を見やすいとか、そういうのはもう知ってるから。」
「ふ・・・ふん。まあいいわ。もう近寄ってこないで。」
「まぁ待ちなよ。まだ君がどうしてここに来たか聴いてない。」
「あ、そういえばまだ言ってなかったっけ。」
杏は初めて会った時の事を忘れていた。
「実は両親が交通事故で死んじゃったの。今はアパート祖母の家に住んでる。」
「学費は?」
「父がやりてのビジネスマンでさ。結構貯めてたらしいの。私は詳しく知らないけど。」
「ふ~ん。」
尭人はしばらく黙っていた。
その後、こう言った。
「なぁ、俺今日放課後行くわ!お前の家!」
「は?来ないでよ!というか家教えないわよ!」
杏はそう言いながら追い払うようにして近くの石・・・いや岩を投げた。
が、明後日の方に飛んでいき、
ズボッ!
ビニールハウスを破った。
「あ・・・」
「あ~あ、これ校長が大事にしてたのに・・・どうするの?入学早々こんなことを。」
尭人は真面目な口ぶりで言った。
口元はにやけていたが。
「お願い!なんでも言うこと聞くからこれは内緒にしといt・・・」
「ならおまえんち行く。」
杏が全て言い終える前に、尭人はそう言った。