歳
お祖母ちゃんを捜しに行こう。
気絶した尭人が起きてから、二人で話し合ってでた案だった。
ちなみに、尭人が起きるまで待ってたのは、暗い所が怖いとか、そういうのじゃないですよ。
さて、そういう訳で、さっそく探しに行こうかと思うのだが、どこから行けばいいかわからないことに気付いた。
「とりあえず、そこらへん歩いとけばいいんじゃね?」
「まあ、そうよね」うん、一般的。
そういう事で、さっそく私たちは外へ、近所の道をぶらぶらと歩いていく。
途中で見つけたものといえば、ネコとカラスぐらいで、町内を一通り歩いてもお祖母ちゃんは見つからないかった。
「いないねー」
「そうね、町内をでてみましょうか」
と、言う事で町内をでることに、なった。
町内をでると、すぐに商店街がある。その商店街を外れると、公園がある。
とりあえず、そこらへんを歩いてみることにした。
商店街を歩いていると、柄の悪い青年が三人ぐらい歩いていた。
こちらをチラッと見てくるが、すぐに向こうが視線をはずしてきた。
良く見ると、その青年たちは所どころに怪我をしているのがわかった。
どこかのチンピラと闘って負けたのだろうか?
勝利の傷とは思えない程度の傷で、最初気付かなかったのが、不思議なくらいだった。
尭人といえば、そんな彼らを興味なさそうに一瞥して、すぐに視線を外すだけだった。
…たぶん、こいつは変態だから、女にしか興味ないんだろうな、と偏見にも似た事を思った。
さて、商店街を一通り回ったけど、お祖母ちゃんの姿は見あたらなかった。
「そういや、ここら辺デパートあったよね?まだやってるんだっけ?」
「え?ああ、確か、まだやってるはずなんだが…」
「そこで買い物でもしてるんじゃないの~?」
「ああ、お祖母ちゃん買い物すきだからな、公園見終わったら、寄ってみようか」
最初は近い公園から。
実際、公園にはあまり期待してはいなかったわけだ。
なぜなら、公園にはお祖母ちゃんに似合わないものが多いから、カップルとホームレスの集う公園には、お祖母ちゃんに合わないものが多い。
…と、思っていた私は間違っていたらしい。
お祖母ちゃんはいた。
公園の鉄棒に。
なにをしてるか?
ボクシングのまねごとを。
鉄棒の棒をリズムにのって、よけていくお祖母ちゃんは、歳を感じさせない優雅さがあった。
その姿をカメラに抑えようと、携帯を持ったギャラリーがたくさん集まっていた。
「歳を考えようよ…」
いくら、優雅だろうと、言わざるは言えなかった。
もちろん、お祖母ちゃんには届いていない、はず。