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男
「うわぁ・・・」
広い。
中央には花が咲き乱れてる。
「どう?凄いでしょ?ここ。」
男が自慢してるような口調で訊いてくる。
お前の家じゃないだろうにっ!
「うん。すごく広い。・・・あれ?そういやあなたの名前って何?」
そうだ。
私はまだこの男の名前を聞いてなかった。
確か小学校の頃知らないおじさんにはついて言っちゃいけないと聞いたような。
少し間が空いた後、男は口を開いた。
「尭人。鈴原尭人。」
「へぇ。まぁよろしくね。」
「ああ。てかお前何組?」
「え~っと私はB組。」
「ならこの階の上だな。エレベータで行けよ。」
「ありがと。」
「あ、これやる。」
何か渡してきた。
あ、袋からして飴だな。
杏が思った通り、ピンク色の飴が入ってた。
「食べなよ。美味しいぜ?」
なんかせかしてきたな。
コイツ。
そんぐらい美味しいんだろう。
杏は飴をほおばった。
そのとき。
「せんせー!この娘が飴食べてまーす。校則違反でーす。即刻生徒指導室へー。」
・・・な゛?