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憂鬱な気分もスプラッシュさ!

水分を含むしっとりとした風が体を攫う。

薄らと雲がかかった淡い紺色の空。

ふんわりとした暗さが人間を平等に包む朝だ。


巷では「ゴールデンウィークが過ぎれば街から人が減る」なんて嘯かれているのに、相変わらずの満員電車だった。電車が揺れる度、後ろの人と背中がぶつかって熱を感じる。


今日は寝坊した上に電車が遅延するし。おまけに湿度が高いのか、肌に服が張り付く。蒸し焼きにされているようだ。


いつも透け透けな服を着ている彼女のように、薄着で来るべきだった。


なんて、気を抜くと不平不満の中がこぼれてしまう自分に思わず苦笑する。

疲労感と悲しみと無感情が増えたこの体に慣れるうちに、暗い感情と共存することが存外の喜びだと感じてしまっている。

この昏さの中に日常を留めておけば、傷つくことはないのだろう。


そんな馬鹿らしい考えを振り切るべく前傾姿勢を取った。

大学生で埋め尽くされた駅前の大通りは一見走りにくそうだが、裏ルートを使えばちょちょいのちょい。体格の良い大学生の集団を掻き分け、細い路地へ入る。


黄色地に赤文字でデカデカと主張する「最安値!80円〜」の自販機。上から2段目右から3つ目を連打し、ゴトンと落ちた「有罪確定赤炭酸」を奪取。


必要以上の時間をベッドと共に過ごしたツケを払うべく、地面を蹴る足に力を入れた。


駆ける、駆ける、駆ける。一度だけ友達と入ったことがあるカラオケ。いつもこの時間におっちゃんが店前でタバコを吸っている焼肉居酒屋。いつの間にか潰れていた写真館。通り抜けて大通りへ。


青々しい桜並木を走り抜ける。

固くギラギラと光る深い緑。風に揺られてサラサラと擦れる音を立てた。


じんわりと汗が滲む。湿気がまとわりついて肌に絡む。世界が私をここに縛っている。唯、この現実に必死なだけだ。


用務員のおじちゃんに挨拶しながら正門を駆け抜けた。

すぐそこの講義棟に飛び込んで、階段を駆け上がり。

ドアの先に少し驚いて「おはよう」と笑う君がいるから、こうして憂鬱を壊してみたくなるのだ。


「有罪確定赤炭酸」を手渡した。

「有罪確定赤炭酸」流行ってますね。

少し前に後輩から一口もらいましたが、ケミカルな炭酸の味がしました。好んで飲むのはちと辛い。

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