反魂蝶 1話
「今日は昆虫を採りに行くわよ。みんな!いいわね!」
謝礼が出ると聞きつけてきたタイトと食券と単位につられたタツ、
そして事件を解決して無事巻き込まれ体質が発覚したミカの4人で
山にピクニックに行くこととなった。
「訓練がわりよ。みんな、体力ないでしょ!ついでに引き寄せ体質の確認も、ね」
「先生!今日は非存在に出会いに行くんですか?」
「単位のためとはいえ……」
「お弁当作ってきましたよ!お昼が楽しみですね!」
◇
ミコトの運転するミニバンで4人は山に向かった。
ブオオンブオオン
エンジンがうなりを上げる。
「やはりエンジン車しか勝たんのよ。EVよりも環境負荷が低いし!」
ミコトが浅い知識をひけらかしていた。油断している。
「EVって電気で動くんですよ!電気はエコじゃないですか!」
タイトが食って掛かる。
「送電ロスって知ってる?あと発電ロスも。電気だって
結局はタービンを回している物理的エネルギーから来ているのよ」
「へえ!そうなんですか。あっ酔い止め要りますか?」
ミカが相槌を打った。
「うええ。ありがとうミカちゃん」
タツは車酔いで苦しんでいた。
◇
「今日の目標を言うわ!蝶よ!蝶を見つけるのよ!捕まえられないのならカメラで撮影して!」
「撮影はタイトに任せる」
「オレかー。できる限り頑張ります」
「お昼休憩が楽しみですね!」
午前の陽気に誘われながら眠気を覚えつつ道を上っていく。
「あ!あれは?」
「アゲハね。黄色がキレイ」
「あれは?」
「クロアゲハね。黒いわ……」
「あのキラキラしたのは!」
「撮影しておいて!」
「蝶なんて見つけてどうするんですか?」
「その鱗粉に触れると、死者と対話ができると言う話よ」
「それも非存在なんですか?」
「たぶんね」
◇
「お昼ごはんおいしいですね」
サンドイッチ……卵とレタスとハムだ。
おにぎりは、ツナマヨとシャケ、あと梅干しか。
おいしい。
ミコトは舌鼓を打った。
「さて、午後も頑張りましょうか。暗くなる前には帰るわよ」
その後、夕方まで粘ってみたが目的の蝶は見つからなかった。
「帰るわよ!いい運動になったわね」
夕暮れの道路をミニバンが進んでいく。
「成果はなかったけれど気分転換にはなったわね」
「ありがとうございます。誘っていただいて」
「単位!ちゃんとつけてくださいよ」
「わたしも!ありがとうございます!」
ミカは助手席でお茶を飲んでいた。すると、
「あ、あれは?」
車を走らせていると、正面に一匹の蝶が舞っていた。
「あれ!あれよ!緑と白と黒!」
キキキキキーー!
車を急停車させた。
「タイト!スマホで撮影を!私は網を持っていくわ!」
「タツ!ライトを向けて!ミカは虫かごを持ってきて!」
ゆっくりと飛んでいく蝶を網でとらえた。
「やったわね。これは……学会に報告レベルかも」
網からそっと虫かごに入れる。
そのときフッと羽に触れてしまった。
「しまった!弱ってしまわないかしら……?」




