里帰り 2話
「ここが現場の小学校ね」
「こっくりさんを行ったら10円玉がぐるぐる動き回って止まらなかったとか」
「最終的には全員が手を放してしまったそうよ」
「もがき苦しむ霊の仕業……とか?」
「あるいは、紙に書かれた言語がわからなかった霊とかね」
件の小学生の4人は保健室に集まっていた。
ここで話を聞くつもりらしい。
独特の消毒の匂い……懐かしいな。とタツは思った。
ミコト教授が順番にヒアリングをしていく。
その様子をカメラで撮影した。許可は全員にとってある。
事件は4人目のヒアリングを終えようかと言うときに起きた。
「ワッツユアネーム?」
ミコト教授が唐突に英語で生徒に話しかけた。
「グググググ!ウオオオオオオン!」
小学生が泡を吐いて苦しみ始めた。
「その体から出なさい!」
ミコト教授は鞄から人形を取り出して生徒の体に当てる。
と同時に口に式神を含ませた。
「急急如律令」
生徒は泡を吹き続けていた。
「ッチ!それなら……アサップ!!!」
グゴゴゴゴゴゴ
生徒の喉が鳴って奇妙な空気の塊が吐き出された。
それは形を求めてやがて人形へと吸い込まれていった。
「何とかなったわね。英語を学んでおいて助かったわ」
◇
「どこで供養するんですかそれ?」
「神社よ」
「教会とかでなく?」
「宗教にもいろいろあるのよ。復活のために体が必要だから土葬するとか、ね」
「その人形を土葬すればいいのでは?」
「悪霊は払われるのよ。世界中のほとんどの宗教ではね。悪しき霊を供養して仏さまにしようだなんて奇特な概念を持つのは珍しいのよ」
「へえ」
「知っているかしら?ドラゴンの逸話を」
「また海外の話ですか?」
「ええ。西洋ではドラゴンとは富をため込んで肥え太った貴族のことだと言われているわ」
「打ち倒すのは騎士様なのでは?」
「アスカロンと言う剣を持った騎士は聖人だったのよ」
◇
「これ!お礼の食券ね」
「貴重な体験をさせてもらいました。ありがとうございます」
「一応名刺もわたしておくわね」
「?受け取りますが……電話番号を交換すればいいのでは?」
「形のある媒体が大事なのよ。それ、お守りの効果もあるんだからね」
はあ……とタツは適当な相槌を打った。
危険だと言われ禁忌とされているのに方法が広く知られている術式
これからもこっくりさんを行って霊を呼び出してしまうケースは後を絶たないだろう。
非日常への扉を開いてしまわないようにご注意を。




