里帰り 1話
里帰り
「思念は土地や強い概念に縛られるって知ってる?」
ミコトは授業を開いていた。
トストスとペンでホワイトボードに文字を書きなぐった。
例えばこのケース。もともと墓地のあった場所に病院を建てた件だ。
◇
ノートを5枚分埋めたかと言うところで授業は終わった。
非存在。怪現象。それを科学的に説明しようとする試み。
そしてその失敗。
簡単な歴史を説明されてなるほどと思ったりさらに疑問が深まったりだ。
大学は良い。いろんな授業を選択出来て。
院に入ると教授の小間使いで勉学の暇がなくなると言う。
いまが人生で一番勉強に集中できる時間なのかもな。
タツ。男性。20歳。一浪して入学した大学2年生だ。
最近、やたらと怪現象が起こったという話を耳にする。
カクテルパーティー効果ってやつだろうか。
興味関心があるからそういう話が耳に残る。
もしかしたら、いままでと変わっていないのかもしれない。
自分の興味が向いているから聞こえてくるだけなのかも?
「この国だけなのかな怪現象って」
「あら?興味があるのかしら?」
返ってこなくてもよいと独り言を呟いたのに、返答があった。
ミコト教授だ。さっき授業をしていた。
「興味は……少しあります。海外でも不思議な現象が起きているのでしょうか?」
「もちろんよ。どころか、この国の怪異があっちに行ったり向こうからこっちに来たりもよ」
有名なのが……と話が続いた。長くなりそうだ。
◇
こっくりさんと言う呪術がある。
キツネやタヌキの動物霊を呼び寄せてオラクル……神託を得るというものだ。
時には人間の霊を呼び寄せてしまうこともあるそれはこの国でも
危険だとされている呪術の一つだ。おそらく、一番有名な。
ウィジャボードやエンジェルさんと言う派生形もある。
海外で行った場合はその土地や術者の縁をたどった霊が呼び出されるそうだ。
絶対に一人でやってはいけないよ。と念を押された。
科学者に実験禁止と言うようなものだとタツは思った。
「そうだ。ちょうどこっくりさんに失敗した人たちがいるのだけど。
一緒に行ってみる?助手として。お礼は食券で」
「見てみたいです。よろしくお願いします」
よろしく。とミコトに返されて研究室へと案内された。
「いつものスプレーと。式神セットと……安全お守りよし。生贄用の人形も持っていくか」
「生贄って。物騒ですね」
「そうなのよ。かなり、ね。今回はそんなに強くない人間霊だと思うけれど。
事故は怖いからね……」
「事故、ですか」
「この鞄を持ちなさい。助手くん」
「タツです。教授」
「ミコトよ。助手のタツくん」




