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ジンクスパンツ ときどきノーパン  作者: 焼肉一番


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蓮宮葉子

「のうぱ……?」


「の……ノーパ……ノートパソコン! 何、使ってマスカ」


「え? あ、あのね! 私んち、デスクトップだよ? 専用のは持ってなくて家族で使ってるの! だいたいお兄ちゃんが占有しちゃってるから調べものとかあってもいつもスマホ! でも本当は動画とか大きい画面で見たいよね~! 英彦君は自分の部屋にノートパソコンがあるの?」


「あ……うん。ある……」


 俺の急な話しの逸らし方を不審に思うどころか、何だか水野は嬉しそうにどうでも良い事を喋りまくった。

 正直今は水野の家のパソコン事情なんて興味ないんだ。話しはほとんど入って来ない。自室にパソコンがあって羨ましいなと語る水野の顔を見ながら、さっき目に焼き付いてしまった水野の白いお尻をだぶらせる。


 いつもそうなのだろうか。


 何か事情があってたまたまなのだろうか。


 寒くないのだろうか。


 誰かに見られる危険性を考えないのだろうか。


 もし今胸ポケットにあるパンツを「これ、はけよ」と渡したらカッコ良いだろうか。


 いやいやいやいや! 

 まずい。

 ちょっと思春期真っ盛りな俺には刺激が強過ぎたらしくまともな判断力が鈍っているようだ。断じてそんな事はしてはいけない。

 これは今日一日決してポケットから出してはいけない物だ。

 今朝空飛ぶパンツに遭遇すると言うファンタジーに続いて新たなファンタジーが巻き起こったのでメンタルがやられてる。


 そもそも、本当にノーパンだったのだろうか?

 今、隣に普通に座っているこの水野が……。


「英彦君? どうしたの? さっきから何か……少し変……?」


「普通だろ? 別に? 何も? 全然?」


「そっか、ごめん、変な事言って」


 そう言ってちょっと笑って見せる水野を見ているとついさっきハッキリと見えたものが何かの間違いだったのではないかと思えてくる。


 だいたい俺の女性ものの下着に関する知識なんてほとんどない。四十代の母親と中坊の妹のパンツをたまたま見るくらいなんだ。

 もしかしたら今時のパンツは……なんかこうノーパンぽく見えるやつとか、そう言うのがあるのかも知れないよな。ヌーブラ的な。


 ふと、水野の視線が俺の背後に移ったと思った瞬間だった。


「ヒデ君……一日振り……おはよう」


 抑揚のないそんな言葉と共に背後から回された二つの腕が俺の身体を抱き締める。


「うおあっ!」


 驚いてその腕を払い除けて後ろを振り返るが、もうこの声の主が誰なのかは分かっていた。


「おい蓮宮……、毎回言うが音もなく俺の後ろに立つな」


「毎回言うけどこれは儀式の様な物で、隙を見て触らないとヒデ君逃げるからダメ。とりあえず今日の午前分のヒデ君スメルは補充した」


 蓮宮葉子、俺の天敵だ。


 その涼しげな目もとは半分以上前髪に隠れていて、細く形の良い顎もほとんど両サイドの髪に覆われているが……たぶん、残念な美人ってやつ。


 オカルト同好会の会長で、なんせいつも怪しげな本を小脇に抱えている。かつ病的な匂いフェチらしく、あろう事か俺の匂いにハマったらしい。残念にもほどがある。


 最初にそう言われた時、俺って匂うのか?! と思い悩み、肌が擦り切れるんじゃないかと思うほど体を洗い、シャンプーも二回以上入念にしていたのだがどうもそう言う事ではないらしい。

 友達に聞いても気を遣うかも知れないから、妹に本当の事を言ってくれ! としつこく聞いてみたが別に臭くはないみたいである。

 じゃあ一体何がそんなにお気に召したのか……、普段のこいつの不可解な言動を観察するに、到底思いも及ばなさそうなので考えるのをやめた。


「おはよう蓮宮さん!」


「おはようございます。ところでヒデ君……」


 水野の挨拶に形だけ答えて蓮宮はすぐに俺に言葉を続けた。自分が興味ない奴にはとことんこうなんだこいつは……。友達と居るところも見た事がない。


「はぁっ……なんだよ? そろそろ自分のクラス戻れよ」


 一年の時は同じクラスだったが、今は違う。

 それなのに蓮宮は、こうして毎朝、まさに儀式のごとくわざわざ俺の匂いを嗅ぎに別のクラスからやってくるのだ。

 そんな残念過ぎる彼女の次の言葉に、俺は絶句する……。


「その胸ポケットからとんでもなく大きな気を感じるのだけれど何を入れているの?」


「っ……?! は……はい?!」


「ただ事ではない……。この世にあってはならぬものな気がする……見せて」


 俺は胸ポケットを素早く抑えた。

 蓮宮の言う通りだ。こいつはこの世にあってはならぬもの……。故に中身を人に見せるなど……!


「何言ってるんだよお前は! いつもそうだな! オカルト研究も良いけどあんまり現実との区別がつかなくなるのもどうかと思うぞ?! なぁ! 水野もそう思うだろ?!」


 きょとんと俺達のやりとりを眺めていた水野に助けを求める。蓮宮がちょっとおかしいのは周知の事実なのでごまかせる筈だ!


「えっ? あ、う~ん、私には何も感じなかったけど……蓮宮さん占いとか得意って聞いた事あるよ」


「お……おいおいおい水野までそんな非科学的な事信じるのか?」


「科学が正義だった時代なんてとっくに終わってる。今ではスピリチュアルが見直されている事くらいヒデ君も知ってるでしょうに。ねぇ? 水野さん?」


「うん! 何となくそう言う不思議な力とかは信じたいなぁ~」


 なんて事だ……。まさか水野が蓮宮側に付くなんて!

 そう言えば女子連中は例外なく占いとかが好きだよな。しかし空飛ぶパンツ……は、スピリチュアルとか占いとか、そう言うんじゃないと思うんだが違うのか?


「さぁ見せて、ヒデ君。良くない物かも知れない」


 ううっ……やばい……。こいつ、本物の能力者か……!

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